数年前に本屋で見かけ、奇妙な表紙絵が気になっていた。1世紀前と思われる小説家の肖像。背景には総毛だったドクロと、奇妙な動物の首。表紙だけに惹かれ、アマゾンで電子書籍版を購入した。
ラヴクラウトは20世紀初頭に登場したアメリカのホラー小説の先駆者と言われる人物。スティーブン・キングなど、愛読者も多いらしい。
本書は4編からなる恐怖小説集で、うち2編はモンスター小説。
派手な展開があるわけではない。「面白いか?」と聞かれるとそうでもなく、「怖いか?」と聞かれても素直に肯定はできない。幼稚な表現だが、「面白くなくはなく、怖くなくもない」小説集と言えるかもしれない。
「実際に目に見える恐ろしいものは結局何一つ見なかったのだということを心によく銘記しておいていただきたい」という冒頭部分が示すように、読者の想像心が恐怖を生むような展開となっている。
心からお勧めできるような小説集ではないが、個人的には読んでいる間、奇妙な充実感を感じた。大西尹明氏の翻訳は素晴らしいと思う。小説世界の雰囲気は楽しめた。一応は読んで損はないかもしれない★3.5。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2014年11月6日
- 読了日 : 2014年11月6日
- 本棚登録日 : 2014年11月6日
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