天才英文学者(由良君美)との稀有な出会いと不幸な別れとを、由良の死後17年を経て振り返る。
1970年の東大駒場の雰囲気がイキイキと甦るセンチメンタル•ジャーニー。
英文学が知的最先端の学として論壇を引っ張っていた時代が確かにあったのだ。
「ノンセンス大全」を著し、アリスを通じて現代思想に切り込んだ高橋康也と、本書の主役たる伝説の由良君美に英語を習っていたというのは貴重な体験だった。
尤も、四方田が悲しそうに書いているように、由良はおかしくなり始めていて、由良の誤訳を指摘したところ激怒されたことを思い出した。
四方田と同じ由良門下生の高山宏「学魔降誕」も併せて読むと一層面白い。
共に英文学華やかなりし頃へのセンチメンタル•ジャーニー。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2023年7月27日
- 読了日 : 2022年12月17日
- 本棚登録日 : 2022年12月17日
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