http://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4001140527の続き。
夢物語は骨格をむき出しにしようとする外部からの力に、たえず脅かされているのです★
『公園のメアリー・ポピンズ』によると、彼女は、自分たちがいる世界の秘密、すなわちここがトラヴァースの書いた物語の中だということを、知っています。
あなたは架空の物語の中を生きているーー
その枠組みを作中人物に知らせるのは、本来ならタブー。だから、メアリー・ポピンズは、この世界の皮をべろりとめくることができるという秘密は後ろ手で隠して、かわりにいい夢を見せてくれるのです★
何があっても「何をいってるんですか、フフン」と鼻を鳴らしてオチをつける、あの「フフン」が背負っているものは大きい!
そこに「君たちのこと、本で知ってるよ!」という子が現れた時、ポピンズさんは一瞬口を割りかけて留まりました(と思う)。危うい★
ポピンズさんには何が起きても、鼻先の「フフン」一発で子供たちの足もとを守り抜いてほしいもの。ただ、人が現実と信じている世界は、案外、容易にぐらつくのではないか。『公園のメアリー・ポピンズ』は、どうしても書かれなければならない作品だったのでしょう。
『レビュージャパン』掲載書評
<東風にのってやってきた者は西風にのって去っていく>
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
はっぴゃくじ@Review Japan掲載書評
- 感想投稿日 : 2011年9月24日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2007年7月3日
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