死者の代弁者〈上〉

  • 早川書房 (1990年9月1日発売)
4.00
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本棚登録 : 315
感想 : 21

 あの『エンダーのゲーム』の続編は、前作に勝るとも劣らない大傑作。

 ……実は、間違って続編から先に読んでしまいました! 意味わかんないなと思ったら、道理で。ここから読むのは絶対オススメしません。前作あってのモノダネです★ ただ、その深さに痺れて、前編も読む気を起こしたことをつけ加えておきます。

 私がすっ飛ばしてしまった前作までの経緯は? というと、「バトルスクール」で超優等生だったエンダーは、ゲームとばかり思って率いた戦いで、知的異星生物バガーをせん滅させてしまったのでした。当人も知らされずにしたこととは言え、一転して「皆殺しのエンダー」の烙印を押されたエリートの運命はーー
 表舞台から消えたエンダーは、「死者の代弁者」なる筆名で亡びた種族バガーに関する詳細な書物を綴り続けて、ひそかに尊敬されるようになります。作者の正体を知らない人々の間でね☆

 さて、『死者の代弁者』はその3000年後の物語。知的異星生物ピギーと遭遇した人類は、エンダーの悲劇を繰り返すまいと慎重にコンタクトします★ にもかかわらず、学者とピギーの間でむごい事件が勃発。
 通信をキャッチした「死者の代弁者」ことエンダーは、時空を超えて(?)若々しい姿で再登場。真実を解く者となります。恒星間移動などのSF的理論&設定の面白みも、良きスパイスかと。
 もうバトルアクション物ではなくなり、大人になったエンダーが知性で事の解決を図る作品。大きく変わったのが、エンダーの存在感、全能感です☆ 前作ではエンダー自身が真っ暗でしたが、久しぶりの彼の、受難を乗り越え聖性を備えた者の落ち着き、力強さ★
 コミュニケーション不全が悲劇を招く。人類の無知の大罪を背負った流浪の人・エンダーが、今度は異種たちの絆を結びます。大いなる赦しの物語です。宗教性も帯びているけど、その分、カードの精神性の深まりも凄い境地を見せる名著☆

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: はっぴゃくじ@Review Japan掲載書評
感想投稿日 : 2020年3月22日
読了日 : -
本棚登録日 : 2006年11月30日

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