四元館の殺人 ―探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2021年6月24日発売)
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感想 : 47
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「犯罪オークションへようこそ!」
犯人のAI・以相がオンライン上で開催した闇オークション。落札したのは従姉を殺された復讐をしたいと訴えた少女だった?!その模様を目撃した探偵のAI・相以と助手の輔は、依頼者が住んでいる場所へと向かう。彼らを迎えたのは、山奥に建つ奇怪な館・四元館(よんげんかん)で──。

雪山×館×遺産相続争いという王道設定に、AIの探偵と犯人が飛び込むという前代未聞のミステリ!四元(よつもと)家の遺産を継ぐのは10歳の錬華。父は7年前に失踪。母はこの館を遺して病死。それ以来、財産を奪おうとする親戚たちにつけ狙われているという。昨年にはここで従姉・てとらが残雪の只中で刺殺された。周囲には足跡も足場もないところでの不審死。てとらを殺したのは誰か?!そして、その犯人が見つかった時、復讐は果たされてしまうのか?!

今回はレギュラーの左虎刑事たちは登場せず。相以と輔コンビだけで事件を解決しなければならない!警察も医者もいない中で、人間の助手・輔ならではの成長が見られてよかった。相以と以相という真逆の存在ながら、どこかで通じ合うものがあるという描き方も上手い。お助けキャラの以相推しメイド・一ノ瀬とのかけ合いも軽やか。今までで一番サクサク読めるかも?

AI探偵&犯人と館ミステリってどうなんだろう?と思っていたら、館という概念をぶち抜いてきて笑ってしまった。館という奇妙な匣に期待するのがファンなわけだけど、この作品らしいびっくり箱になっていて楽しめた。荒唐無稽文化財に指定したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年7月21日
読了日 : 2023年7月21日
本棚登録日 : 2023年7月21日

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