著者がいろいろな人物(作家、元ひきこもりやホームレス、研究者など)へのインタビューを通じ、「失敗」や「弱さ」とは?それらをどうしていけば良いのか?を探っていく本。
●ヘルプを求める際のハードルとして、「自分自身が助けられる/生きるに値する人間であるという自己肯定感」と「他人や社会への最低限の信頼感」。貧困やいじめなどは特にこのふたつのハードルを越えるのが難しい。
●(コロナ禍含めて)積極的に社会のせいにする。自分ではなく社会の構造などに問題があるのかもしれない。
●死なない程度に安心して失敗できる場所があること、優秀な支援者がそれを奪わないことも大事。
今の日本社会は“レールを外れたらおしまい”“異分子はアウト”などと10代の頃からあちこちで植えつけられる&学校でも会社でも“成果”をとにかく求められるので、“積極的”に失敗する機会がほとんどない・完璧主義な性格の人間ほど“失敗してはいけない”という思い込みがあるのが難しいと感じます(もちろん会社や人に大損害を与えるレベルのものは別ですが……)。
社会そのものや環境・立場を変えるのはなかなか難しいですが、失敗を引きずることで注意を無駄に使わないこと・学びに変えて未来に注意を向けること(飯野謙次・宇都出雅巳「ミスしない大百科」より)や、本書のインタビュー中にもありますが「失敗したからこういう出会いがあった!」と逆転の発想で捉えてみるのが自分自身でできる事かなと思います。
「死ぬ気でやれ、死なないから」みたいな言葉は好きではないけれど(実体験として心身が死ぬ寸前の思いをしたので)、ちょっと人間関係で失敗しちゃった、とかでは即人生おしまい/それが延々と続くことはないし、失敗して逃げてもなんとか継ぎ接ぎで生きてる人間もいるよ、失敗したことで生まれる人間関係や気づきなどもあるよ、と10代の子には言いたいです。親や先生、支援者が「失敗しても弱くてもいいんだよ」と伝えて見守っていく環境などを作っていくことも大事かなと思います。
- 感想投稿日 : 2022年4月12日
- 読了日 : 2022年2月13日
- 本棚登録日 : 2022年2月9日
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