ブログを愛読してきた読書猿さんの新著が発売されました。評価の仕事に関わってきた関係で、発想法についての書籍は乱読してきたつもりですが、このような書籍に出会ったことはなく、本書には圧倒されました。
圧倒されたのはボリュームではなく、具体的であり内容が本当に使えるように厳選されていることです。読み物として考えると、ひとつひとつの手法はやや物足りないぐらいの感触ですが、実際に手法に挑戦してみると、実践のためには過不足なく、ちょうどいい説明量なのです。
本書に書かれているいくつかの発想法の手法を実際に試してみました。マニュアルとしても優れていて素人でもすぐに実行できるように記述されています。しかしそれだけではありません。前書きに、
本書は実用書であると同時に人文書である
とあります。これこそが読書猿さんの真骨頂であり、博覧強記ぶりを活かしなぜその手法なのか、その手法や考え方が生まれてきた歴史や人物、社会、その思想的背景が語られます。これが大きな魅力で、読者はどんどん引き込まれていきます。
本書を読み、手法を試された方なら同感いただけると思いますが、実際に発想法を真面目に実行すると頭の中を掻き回されたように感じ、心地よい疲労ですがかなり疲れます。ぐったりします。自分自身が日頃いかに頭を使っていないかを思い知らされます。
読むだけではなく、マニュアルとして活用してこそ意味がある本です。テーマを持っている人が、内容をきちんと読めば思わず実践したくなります。著者が意識されているかどうかわかりませんが、本書は2020年代を生き抜くためのホールアースカタログだと思っています。広義の企画に関わる全ての人に本書をお勧めします。
- 感想投稿日 : 2018年10月13日
- 読了日 : 2017年1月22日
- 本棚登録日 : 2018年10月13日
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