まだおそらく江戸・幕末の名残の感じられただろう明治後期に生まれ、昭和にかけて生きた著者。新聞記者として働いたこともあったようで、関係者に聞き取りをしたり、当時の手紙や資料を読んだり、ご自分で「新選組」を調査してまとめたのがこの3部作ということだ。
聞き取りをした相手にしても、手紙や資料を残した人にしても、人によって記憶が違っていたり曖昧になっていたりもするのだろう、ところどころ今現在 知られている「史実」とは異なる記述も多い。けれど、幕末を生き延びた元新選組隊士や、幕末に生きた人物たちのごく親しい家族(配偶者や子供)・親戚等に実際会いに行き話を聞いて集めた逸話も多く、新選組の隊士達の生きざまや人生模様、当時の空気が活き活きと生々しく伝わってくる。この内容が小説・資料として残った価値は高いのではないかと思う。
ずいぶん前に司馬遼太郎の新選組血風録等を読んで以降、私の中では近藤勇の存在感が薄かったのだが、今回子母澤寛の新選組3部作を読んで近藤勇に対する印象が大きく変わった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
時代もの
- 感想投稿日 : 2019年7月16日
- 読了日 : 2019年7月16日
- 本棚登録日 : 2019年7月13日
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