黄金蝶ひとり (ミステリーランド)

著者 :
  • 講談社 (2004年1月31日発売)
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本棚登録 : 162
感想 : 42
4

講談社ミステリーランド第三回配本の一冊。

まず、「はじめに」を読んで著者のお茶目さに、にんまり。
こんなところにこんな形で読者への挑戦を持ってくるとは。

本編はこれまた盛りだくさん。

いつまでもイチャイチャしている両親に呆れている小学5年生の洸(たけし)は、そんな二人と一緒に旅行に行くのが嫌で祖父のいる田舎で夏休みを過ごすことにする。
それは今まで会ったことがないどころか、存在さえ知らなかったおじいちゃん。
どうやらかなり変わった人らしい!?

おじいちゃんの教える犬との接し方や〈万能学〉のいろいろ、奇妙な三人組、悪者らしい悪者、そして起こるおじいちゃんの失踪。
自然・戦争・鍾乳洞・謎のドームとそこに眠る村の財宝(?)と、本当に盛りだくさん。

そんな中で一際気になる存在が、テツ。
名前と気配だけで、なかなか姿を現さないのもおもしろい。
子どもながらに「山を守るもの」として暮らす、たくましくて強いけれど孤独なテツ。
大人もたじたじのテツが同年代の洸と接するうちに子どもらしくなるのが読んでいてうれしかった。
そして一緒に冒険をした二人はお互いを認め合い、強い絆ができる。

あとがきがわりの「わたしが子どもだったころ」にも、にんまり。
『作者』が子ども時代を語り、すっかり忘れていた冒頭の謎解きをしてくれる。

ミステリーランドはまだ読了2冊目だけど、子どもたちにミステリを好きになってもらいたい、ずっと好きでいてもらいたいという気持ち=作家さんのミステリ愛が伝わる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: あ行の作家(国内)
感想投稿日 : 2013年4月3日
読了日 : 2013年3月31日
本棚登録日 : 2013年4月2日

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コメント 3件

kwosaさんのコメント
2013/04/03

九月猫さん

『ミステリーランド』って、コンセプトと装丁がいいですよね。
僕もまだ二冊しか読んでいないんですけど、ずっと気になっているシリーズです。
これを機に他の作品も読んでみようかな。

好みはあるかも知れませんが、乙一さんの『銃とチョコレート』はすごく面白かったですよ。

九月猫さんのコメント
2013/04/03

kwosaさん、こんばんは♪

>『ミステリーランド』って、コンセプトと装丁がいいですよね。

ほんっとーっっにそう思います!
装丁とコンセプトについては一冊めに読んだ『虹果て村―』のレビューで
少し書いているのでこちらでは書かなかったのですが、どの本の装丁もすごく好きです。
丸窓からのぞくイラストを眺めているだけでも楽しいですよね(*^-^*)
ページの角が丸いところもポイント高いです。

>乙一さんの『銃とチョコレート』

おススメありがとうございます!
『銃とチョコレート』はまだ手にしてませんが、
ミステリーランドはコツコツと全巻集めるつもりなので、ぜーったい読みます♪
も、もう少しミステリーランド山が低くなったら(汗)
 ※※現在、15冊積んでおりますもので(^▽^;)

kwosaさんのコメント
2013/04/04

九月猫さん!

全巻コンプリート!
そして、すでに15冊もスタンバイしているとは!!
おみそれしました。

『銃とチョコレート』の他は『びっくり館の殺人』を読んだのみ。
気になるこのシリーズ。今後とも御紹介よろしくお願いします。

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