講談社ミステリーランド第三回配本の一冊。
まず、「はじめに」を読んで著者のお茶目さに、にんまり。
こんなところにこんな形で読者への挑戦を持ってくるとは。
本編はこれまた盛りだくさん。
いつまでもイチャイチャしている両親に呆れている小学5年生の洸(たけし)は、そんな二人と一緒に旅行に行くのが嫌で祖父のいる田舎で夏休みを過ごすことにする。
それは今まで会ったことがないどころか、存在さえ知らなかったおじいちゃん。
どうやらかなり変わった人らしい!?
おじいちゃんの教える犬との接し方や〈万能学〉のいろいろ、奇妙な三人組、悪者らしい悪者、そして起こるおじいちゃんの失踪。
自然・戦争・鍾乳洞・謎のドームとそこに眠る村の財宝(?)と、本当に盛りだくさん。
そんな中で一際気になる存在が、テツ。
名前と気配だけで、なかなか姿を現さないのもおもしろい。
子どもながらに「山を守るもの」として暮らす、たくましくて強いけれど孤独なテツ。
大人もたじたじのテツが同年代の洸と接するうちに子どもらしくなるのが読んでいてうれしかった。
そして一緒に冒険をした二人はお互いを認め合い、強い絆ができる。
あとがきがわりの「わたしが子どもだったころ」にも、にんまり。
『作者』が子ども時代を語り、すっかり忘れていた冒頭の謎解きをしてくれる。
ミステリーランドはまだ読了2冊目だけど、子どもたちにミステリを好きになってもらいたい、ずっと好きでいてもらいたいという気持ち=作家さんのミステリ愛が伝わる。
- 感想投稿日 : 2013年4月3日
- 読了日 : 2013年3月31日
- 本棚登録日 : 2013年4月2日
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