図書館内乱 図書館戦争シリーズ (2) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2011年4月23日発売)
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前回の感想に「内乱と見紛うような「戦争」をしておきながら、それが単なる検閲をめぐる攻防であるところが味噌」と書いたが、今回のお話はその「内乱」の話ではない。次第と明らかになる図書館をめぐる組織の力関係の話である。

そういう「見世物」を描きながら、結局「エヴァンゲリオン」等でも良く描かれる美少女美青年の若者が私生活では自分たちと共感できる悩みを抱えながら、対外的には実はとても優秀であるという、アニメにありがちな「キャラクター」モノの世界を描いている。

これ絶対アニメに向いているなあ、と思ったら既にアニメとして完結しているらしい。

巻末の児玉清さんとのトークインタビューを読むと、有川浩は典型的な「ライブ派」作家らしい。つまり、最初から細かな計算をせずにキャラクターが動き出したらその動きに任せるという書き方である。それはそれで分かりやすい。主人公が突拍子も無い動きをしたら、回りがそれに釣られて感動したり、反発したりするのである。そこに細かな心の動きが入るから分かりやすい。有川浩が38歳の女性だと聞いてなるほどなあ、と思う。「阪急電車」の時には女性のような感覚を持った男性作家だなあ、と思っていた。ところが思いっきり女性でした。この世代、思いっきり「エヴァ世代」なのである。

しかし、そうなると悪人はその心の動きが読めない人間ということになる。手塚光の兄の手塚慧などはその典型だろう。

私は小説でマンガを読みたくは無い。けれどももうシリーズを読み出したので、最後まで行かない気がすまないという気持ちにもなっている。児玉清さんの最後のインタビュー記事もおそらく四巻まで繋がっている様なのでそれも気になる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: た行 フィクション
感想投稿日 : 2011年9月17日
読了日 : 2011年9月17日
本棚登録日 : 2011年9月17日

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