ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2003年10月17日発売)
4.07
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本棚登録 : 2009
感想 : 312
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高野さんは昨年の今頃、数少ない私の「お気に入り作家」に昇格した。そうなれば、出ている文庫本の少なくとも8割くらいは読まなくては気が済まないのが、私の性分。恋でも本でも、原理は同じですね。これで7冊目。まだまだ道のりは長い。この本で、第1回酒飲み書店員大賞を受賞。読めばわかるが高野さんは全ての作品が名文なのである。読み始めると、直ぐに高野節に染まってゆく。

でも、家賃1万2千円の三畳間には別に驚かない。私は2年間、家賃1万5千円の「家」に住んでいた。学生時代ではない、社会人になってからである。1つのボロ屋を2つに仕切って、半分に住むのだ。こちらは1人、向こうは一回も顔を合わせていないが、おそらく4人以上の家族だった。私が使わなかった部屋はふた部屋もある。最後は畳がブヨブヨになったが、全くノープロブレム。途中で私の母親が亡くなったので、夜になると真っ黒い部屋の片隅をよく凝視した。一度も出てきてはくれなかった。

話がそれたが、ともかく高野さんは、私のような孤独な下宿生活ではなく、普通の冒険旅行と同じく変人と共になんやかんや起こしながら、11年間、元気に「生活」してゆくのである。思うに傑作だろうと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: わん行 ノンフィクション
感想投稿日 : 2019年8月6日
読了日 : 2019年8月6日
本棚登録日 : 2019年8月6日

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