マナーはいらない 小説の書きかた講座

著者 :
  • 集英社 (2020年11月5日発売)
3.73
  • (60)
  • (121)
  • (95)
  • (19)
  • (2)
本棚登録 : 1561
感想 : 147
5

いつかは弥生時代を背景とした大河小説を書きたい。そんな野望を持っているが、25年間一つも書けていない(泣)。そんなこんなで、藁をもすがる気持ちで紐解いた。文章教室的な本は幾つか読んだが、「エンタメ小説」指南書は初めて。忖度無し、コレは思いもかけず1番参考になる本だった。

しをんさんは「推敲に推敲を重ねよう」と言っているので、感想代わりに、最近このブクログ欄で原稿用紙約9枚のレビュー代わりの小説を書いたので、それを推敲してみようと思う(長さ問題があるので、引っかかった部分だけ)。

「白銀の墟 玄の月(3)十二国記」小野不由美 新潮文庫(20年5月6日)

を、検索してみてください。これは、小野不由美女史が創り上げた「十二国世界」の、「創世記」を私流に「でっち上げた」お話です。つまりテーマは、大胆無謀にも、私流の「十二国世界観」です。

〈人称問題について〉
短編なので、一人称は正しかった。本当は主人公はキャラ立ちさせるべきなんでしょうが、長くなると問題なので、便宜的に中国秦国の官僚で記録官「中書令」の犀子(創作)を語り手にしてしまった。上手くいったと思います。大河小説ならば、三人称単一視点も試してみようかな。

〈比喩表現について〉
頭いたい。そもそも、もっと膨らまして9枚→100枚ぐらいには、するべき内容だったと思う。よってするべき比喩はほとんどできていません。でもそんなに長くなったら誰も読んでくれない!!あ、ごめん。この小説は〈小説〉と言ったけどホントは〈プロット〉というべきでした。誰か、これを原案に小説に書いてくれないかな。その前に小野先生に読んでほしいな。因みに三浦しをんさんは、新刊発売直後は感想検索しているみたいです。・・・なんか、「推敲」と言いながら「自己満足」と「言い訳」ばかしだな。

〈セリフについて〉
主な登場人物は3人で、喋るのは主には2人なのだから、此処で出ている「どの様な人が喋っているのか、誰が喋ってるか」技巧は難しくありません。むしろ気がついて欲しいのは、秦国の丞相である李斯は、最初はお尋ね者盧生を呼び捨てにしていますが、セリフのやり取りの途中、相手の正体に少し気がついてきて敬語を使い始めます(少し自慢)。‥‥だけど、繰り返しますが、構成からいってもホントは100頁半分をかけて李斯と盧生の関係を描くべき作品です。あゝ枚数が!

〈取材方法について〉
大変参考になりました(最大限ツテを利用、相手の佇まい・口調に注意)。‥‥でも、ホントは25年間ずっと取材しているようなもの。

〈高揚感について〉
しをんさんは、本の1/5ぐらいを使って映画「ハイロー」論を展開していて、ちゃんと高揚感の手本を見せてくれています。本来なら、私も映画を観た上で本書評を書くべきなんでしょうが、アマプラ無料にはなっていなくて断念しました(^^)。「青臭いセリフは小説だからこそ生きてくる」‥‥案外小説を書くには高揚感は必要なことなんだと思いました。

〈描写と説明について〉
「(粘りすぎるとくどくなるので)さりげない塩梅の描写を探ってください」という指摘が、繰り返しますがこの小説には適応しませんが、グサッグサッと来ました。「あれ?この納豆、あんまり糸を引かないな」‥‥そうです。25年間も温めていたら、そりゃ発酵を通り越して腐るわな(石になっているかも)。

〈書く際の姿勢について〉
「周りのアドバイスなど無用!」友達や同僚から感想を求めない方がいい。・・・迷っていましたが、ホント有り難きお言葉。SNSレビューも気にする必要なし。まぁそうなんだよね。だいたい、自分できちんと推敲出来なかったら、書く資格はない。

〈文章、書き進めるコツについて〉
「文章のデッサン力」という瞬発力が身に付いていたら、あとは「マラソンを完走する」持久力です。とのこと。「闇雲に走らない」。どういうコースか知らないままに42.195キロを走るマラソン選手はいない。「あと2キロ先に給水ポイントがある」とわかっていれば踏ん張りがききます。「ここから上り坂が続く」とわかっていれば、息切れせぬように慎重に行こう、とペース配分できます。‥‥心しておきます。

書いてみて気が付いたけど、しをんさんの本自体が脱線しまくりなのを良いことに、全然「推敲」になってないな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ま行 ノンフィクション
感想投稿日 : 2021年5月25日
読了日 : 2021年5月25日
本棚登録日 : 2021年5月25日

みんなの感想をみる

コメント 11件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2021/05/26

ご参考に

UP 2021-04 - 東京大学出版会
[言語学バーリ・トゥード]13 生産者の顔が見える原稿  川添 愛

"しかし『UP』の今号を手に取ったT大学の新入生の皆さんの中には、「文章を書くことを生業にしたい」と思っていらっしゃる方もいるかもしれない。そういう方々の参考になることを願って、今回は自分の仕事の実態について少し書いてみたい。"
"私の場合、文章を書ききれるかのどうかの分岐点は、まさにこの「今書いているものが死ぬほどつまらなく思えた瞬間」にある。このときに選択できるコマンドは、「1.にげる 2.たたかう 3.しらべる 4.やすむ」の四つだ。"
http://www.utp.or.jp/book/b572997.html

kuma0504さんのコメント
2021/05/29

猫丸さん、
ありがとうございます。
元ネタ探したんだけど、文章が見つからない。
全体で何を言っていたのかは気になりますが、
私的には
逃げれる時には逃げる
逃げれない時には足掻く
でもどうしようもない時もあるよね
そん時はどうしたらいいかわからない。
という感じ。
でも、そもそも生業じゃないから!

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2021/05/29

kuma0504さん
ネット上には転がってないですね。猫は「UP」を山口晃『すゞしろ日記』目当てで読んでますが、他のも結構楽しいです。その筆頭?が川添愛『言語学バーリ・トゥード』かも、、、やっと近々一冊になるそうです。

締め切りがある時は、どうしようもない時でも、諦めてでっち上げるしかない。ですよね。
でもkuma0504さんが書かれるブクログのレヴューは、いつも素晴らしいではありませんか!

まことさんのコメント
2023/01/01

Kuma0504さん♪
新年明けましておめでとうございます!
昨年はお世話になりありがとうございました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今日、さてさてさんがこの本をレビューされていたので、Kuma0504さんのレビューも再拝読したら小説を書かれてみたいとお書きになっていたので、紹介したい講座があり、コメントさせていただいています。
私の地元でやっている、柚月裕子さんらを輩出した小説講座ですが、日本一豪華な講師陣で、今、コロナ禍でオンラインでやっていてZoomがあれば参加できます。三浦しをんさんも年に一度は講師にやってこられます。他にも月替わりで有名作家が講師にやってこられます。受講料は月1回2千円で希望する月だけの参加が可能です。
もし、希望があれば、ご連絡ください。詳細をお伝えします。

kuma0504さんのコメント
2023/01/03

まことさん、新年明けましておめでとう御座います♪

まことさん、お誘いホントにありがとうございます。
直ぐにコメント返事しなかったのは、無視した訳ではなくて、真剣に考えたからです。
ずっとやるやる詐欺を20年以上も続けていて、でも時々書きかけては止まっている身としては、こういう「縛り」も良いかもしれないと真剣に考えたからです。
でも、ご存知のように、私は「課題」が押し付けられると、突然何もできなくなってしまう病気とまでは言えないかもしれませんが、性癖があります。だからお誘いはあったけど、地方の小さな文学会に入ることも断り続けてきました。
という訳で、迷っています。

という段階で、まことさんに質問させてください。
まことさんの言われているのは、山形小説家・ライター講座のことだと思います。webで少し見たのですが、確かに単発でも参加するという方法はあるのだと思います。刺激になるかもしれません。でも、ハッキリ言って、私は現代小説家の講座には興味ないのです。ホントは最近の時代小説家もあまり好きではないけど、そんな選り好みまでしたらバチが当たるよな、という感じです。(宮部みゆきならば別です)書きたいのは、ハッキリ「弥生時代晩期を舞台にした小説」だからです。1番は北方謙三あたりが講師ならば一も二もなく参加したいのですが、多分そういうことはないと思います。去年の講師ならば、池上冬樹あたりが読んでくれるなら是非参加したいと思うのですが、何か情報があるでしょうか?

〆切までに小説がモノにならなかったら自己責任ですが、うまいことできたとして、不完全だと思うのですが、これは他に発表しても良い、著作権は私にずっと存在するモノなのでしょうか?

全部講評はできないと書いていますが、どのくらいの割合で講評されるモノなのでしょうか?

突っ込んだ質問ですみません。
わからないことも含めて教えてくだされば、参考になります。

まことさんのコメント
2023/01/03

kuma0504さん♪
お返事ありがとうございます。
ご質問にお答えします。
「山形小説家・ライター講座」のことです。
毎年の講師は年度初めに(2月から4月くらい)にホームページ上で発表になります。
山形在住の文芸評論家の池上冬樹先生が講座のコーディネーター兼世話役で、講師の先生は池上先生の人脈でいらしてくださっています。
北方謙三さんも、池上先生の人脈にありますから、気が向けば呼んでくださることもなきにしもあらずだと思います。
講座の受講生だった柚木裕子さんは逢坂剛さんに非常に気に入られていらしたという話もあります。
ですから、講座には今、流行りの流行作家だけでなく、往年の大作家もいらっしゃることがあります。
柚木さんは池上先生のつてで、逢坂さんに非常に可愛がられて、東京に行った時などにも個人的にお会いしているらしいです。
宮部みゆきさんも、池上先生の人脈にありますが、宮部さんは大極宮の中ではただ一人まだ、いらしていない作家さんです。
池上先生でもいいと書いていらしていますが、これは私は噂を聞いたのですが、池上先生は多数の公募の下読みをされていますが、受講生が応募作を黙って公募に出すと「水臭い」と言われています。噂では一応Ⅰ編5千円で公募作の下読みをしてくださるという水面下の噂話を聞いたことがあります。
また、初期の頃は、1年に1度くらい池上先生が講師をされていたこともありました。
今でも、受講生の提出作品は池上先生が全部読んで、相性のいい講師に割り当てるということをされているのではないかと思います(本人の希望重視ですが)。提出者が少なければ、全部の作品が毎月取り上げられますが、多ければ2時間半の時間内で、取り上げられる量の作品数となりますので、長編小説なら3,4編くらいだと思います。
著作権の問題ですが、確か講座のホームページにあったと思いますが、ピクシブ文芸になってからのことを私はよく知らないのですが、講座で取り上げられた作品は全文掲載されると書いてあったような気がします。
著作権を気にされるようでしたら、講座には習作以外は提出されないほうがいいかと思います。独自に池上先生に、みていただくだけなら大丈夫かと思いますが。
池上先生のことをたくさん書きましたが、池上先生は、講座を自分の利益ではなく皆さんの為に、やってくださっているだけな本当に奇特な方です。今は受講料が2千円に値上げされましたが、昔は千円で、私は講座の運営をお手伝いしていたので、無料でした。講師の先生の宿泊交通費は全部池上先生のポケットマネーから出ていたこともあったらしいです。

講座は月ごとの参加が可能ですので、試しにお好きな作家の方がいらしたときに体験されてみて様子をみられてはいかがでしょうか。
今年度はあと3回しかありませんが、来年度の作家はまだ未定です。
ホームページを時々見ていれば、状況がわかり、講座に1度登録すると何回かは池上先生からメールも届きます。
オンラインになる前から県外からの参加も多かった講座ですが、今はオンラインなので気軽に参加できるチャンスだと思います。

kuma0504さんのコメント
2023/01/03

まことさん、ありがとうございます。

池上冬樹さんが主催者だったんですね。知らないとは言いながら、「でもいい」的な書き方をして、大変失礼しました。
池上冬樹さんの文庫本後書きは、時々見かけて、いつも愛ある書評だなぁと思っていました。特に北方謙三「水滸伝シリーズ」をいち早く評価したことは、日本の時代小説に画期をつくったと思います。

池上冬樹さんが原則応募作品を読んでくれるならば、二千円なんて安いモノです。講評なかった時はそれまでのモノですし。

来年度の講師陣を見て、一度くらいは参加しようと思うようになりました。

そこで、もう一つ二つ質問です。

原稿用紙80枚迄と書いていましたが、原稿用紙とは、400字詰めという意味でしょうか?
みなさんだいたい何枚ぐらいが多いのでしょうか?
私が書くとすれば、せいぜい50枚前後になると思うのですが、それでもいいのでしょうか?

構想としては大河小説的なモノを考えているのですが、今手元にあるのは、その中でも1番(一部)歴史的に有名なエピソードなので、1番とっつきやすい。そういういみでは、これが目に留まらなかったら、ちょっと途方にくれるかもしれません。因みに私は「卑弥呼」や「吉野ヶ里」を描くつもりは一欠片もありません。

公開は、本人の承諾を得て、と書いていました。まぁ、私の書く時代は、ほとんど誰も書いていない時代なので、別に構わないのですが、公募に出す時に池上さんの了解を取るということが今ひとつ仕組みがわからないのですが‥‥。

まことさんが、スタッフだったとは知りませんでした。とりあえず、2月の予定公開注目してみます。

まことさんのコメント
2023/01/03

Kuma0504さん♪
ご質問にお答えします。
原稿用紙80枚までというのは、最長のときの目安なので、50枚くらいは全然OKだと思います。
400字詰め換算ですが、提出するときは見やすい字詰めに変換して皆さん提出されているようです。
公募に黙って応募したら「水臭い」と言われたのは、池上先生の本当の気持ちだとは思いますが、別に黙って応募するのはOKです。
確か柚月裕子さんが黙って「このミス」に応募されて入選されたときの言葉だったと思います。
オンライン以前は作家の先生と一緒に各出版社の編集者も同行してきていて、これはと思う方に声をかけられて、それでデビューされた方や、80歳くらいのご高齢の女性の方がエッセイで池上先生の目に留まり、池上先生の後押しで、出版社から自費出版ではありますが、エッセイ集を出されたという例もあります。池上先生はただ、面倒見がいいだけなのです。
公募には別に池上先生の許可なしで応募するのは自由です。
ただ、見てくださるということもあるということをお伝えしたかっただけなのです。
池上先生はとにかく小説を、文学を非常に愛のある表現をされる方です。
私が、書評を書きたいと思ったのも池上先生の影響が多分にありますが、とても達成できない域の方です。

来年度の予定は、毎年2月ごろですが、少し遅れることもあるかもしれないので、時々HPを覗かれてみてください。
何かまた、わからないことがあれば、ご質問ください。

まことさんのコメント
2023/01/03

Kuma0405さん♪
大事なことを、いい忘れていました。
池上先生が、講師との相性を考慮して、毎月のテキストをえらばれますが、池上先生が、受講生によく言われることに、「講師の先生をおもてなしする気持ちで書きなさい」と言うことがあります。
ミステリー作家には、ミステリーを、恋愛小説の名手なら、恋愛物をということです。
Kumaさんの場合は、かなり、特異な分野かと、思いますので、その作品が提出されても、苦とせず、読んでくださる、作家の方の時に提出されるといいかと思います。あと、いきなり、提出するのは、勝手がわからないかと思うので、少しでも、ご興味を持てる作家の時に、一度参加されてみて体験してから、作品を提出された方がいいかと思います。

kuma0504さんのコメント
2023/01/03

まことさん、
貴重な提案ありがとうございます。
そうですね。
現役作家に作品を読んでもらう機会なんて、普通はなかなか持てないのだから、もう少し慎重に計画したほうが良さそうですね。

とりあえず、今年の目標にしたいと思います。ありがとうございます。

まことさんのコメント
2023/01/03

kuma0405さん♪

何かまた、わからないことなどあれば、お気軽にコメントください。
ご健闘をお祈りします!

ツイートする