土を喰う日々: わが精進十二ヵ月 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1982年8月27日発売)
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感想 : 95
4

映画の「土を喰らう十二ヶ月」を観てたいへん面白かった。面白かったが、まさかあんな美人の編集者(松たか子)と懇ろの仲になっていたとまでは流石に思わなかったが、妻方の親戚(尾美としのり)が、自分の母親の葬式の一切までもツトム(沢田研二)に任せ、あろうことか骨壷まで置いていったのをみて、そんなことをありあるのかとビックリして本書を紐解いたのである。

予想通り、そんなことは一切書いてなかった。どころか、未だ著作当時水上勉の奥様は健在だったし、どうも義理の母親の葬式エピソードは、祖母の一人暮らしエピソードを改変したようだった。中江裕司監督は、真冬の信州の自然に、沖縄の死生観と自然観を注ぎ込んだのだ。

映画にも出てきたが、道元の著書(『天座教訓』)引用が至る所に出てくる。10代のお寺修行は、老境の著者に、53年浸かった梅のように滋味深いあじを与えたのか。思うに、その自然観と死生観は、500年を経て尚且つ生命力を持つものだろう。

どうせしないだろうけど、やってみたい料理がたくさんあった。
・ほうれん草の「根」の赤いところはしっかり洗ってお浸しにまぶす。
・蕗のとうの網焼き
・山の焚火に濡れた紙にタラの芽を入れて焼く。
・渋柿の灰焼き
・無名汁

我が家には、捨てるにすれられなくて置いている30年以上は浸かっている梅干がある。勇気を出して食べてみようかという気にもなった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: た行 ノンフィクション
感想投稿日 : 2022年12月6日
読了日 : 2022年12月6日
本棚登録日 : 2022年12月6日

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コメント 16件

Macomi55さんのコメント
2022/12/06

kuma0504さん
「捨てるに捨てられない梅干し」分かります。
実家の整理をしていたら、食べ物以外にも代々「捨てるに捨てられなかったもの」ばかりです。

くろねこ・ぷぅさんのコメント
2022/12/06

度たび、いいね!をありがとうございます。
梅干しのところ、ほんとに切なくて悲しくてすごい深い感情が訥々と描かれていて、心に染み入りましたよね。
きっと梅干し、ダイジョウブですね。ぜひ、食べてみてください。感想もぜひ。

kuma0504さんのコメント
2022/12/06

Macomi55さん、こんばんは。
もうね、物持ちだった人の家を継いだので、山ほどあるのですが、梅干しは生ものですから、余計悩ましいです。でも、50数年経った梅を美味しいと食べた記述を読んで、大丈夫かも、とも思ったのは確かです。水上勉さんにすれば、市販の梅干しではこうはいかないようです。丁寧に作ったお師匠さんの梅干しだからこそ、とは思うので、うちのはどうなのか?しかも、もしかしたら先代(祖母)の梅干しの可能性さえある。特に、この15年間は、猛暑を潜り抜けていて、昔とは違う。いろいろ思っちゃって、未だ決意がつきにくいのです‥‥。

kuma0504さんのコメント
2022/12/06

くろねこ・ぷぅさん、こんばんは。
はじめまして♪
度々ほどではないとは思うのですが、くろねこさんも、あまり流行本は追わないタイプのようで、ところどころ読んだ本が他にも被っているところがあって、興味深いです。

映画は、ストーリー部分はほとんど監督の創作なのですが、梅干し部分はほとんど原作のままでした。お師匠の娘さんは檀ふみが出ていました。当時文壇を賑わしていた檀一雄の娘なので、ピッタシの役どころだと思いました。

梅干し、勇気を出すために敢えてここに書きましたが、まだ怯んでいます‥‥。

Macomi55さんのコメント
2022/12/06

kuma0504さん
お返事ありがとうございます。
確かに老舗の梅干し屋さんで百年物とかあるらしいですが、普通の家でお母さんやお祖母さんがいくら心を込めてつけられても、よほど保存方法に気を配ってないと何とも言えないですね。
ここ一ヶ月くらい実家の片付けをしていたら、ありえないもの続出で、ついkumaさんのレビューに乗っかってグチこぼしに来てしまいました。失礼しました。
kumaさんの“やってみたい料理“の中の“山の焚火に濡れた紙にタラの芽を…“とか“渋柿の灰焼き“とか興味ありますが、住宅事情により出来そうにないです^^。

kuma0504さんのコメント
2022/12/06

Macomi55さん、先代の荷物悩ましいですよね。
この前、古道具屋さんがやってきて、勉強しますから、と言ったので、試しに倉庫にあるやつのだけ、叔母さんの荷物、お茶と花の師匠だったので倉庫自由に観ていいから、「コレ全部持って帰ってくれたら嬉しいんだけど」言ったら、全部で五万円になったのはいいけど、半分の荷物は引き取れないとなった。無料でもいいけど引き取ってくれないらしい。全部引き取ってくれるのならば片付く、という思惑はそれで消えました。ガラクタのみ残るなら意味がない。家の中にある大量の荷物をどうしよう、やがて私の本とかマンガとか図録とかも終活として整理(処分)しなくてはならないけど、その前にこの荷物どうしよう?とりあえず梅干しどうしよう‥‥。

悩ましいですね♪

Macomi55さんのコメント
2022/12/07

kuma0504さん
五万円で売れたのすごいですね。でも、残ったのが、たとえ“ガラクタ“だったとしても捨てられないですよね。うちも、祖父の茶碗とかあって、祖父自身全然使ってないし、私たちも使わないから骨董品屋にでも持って行きたいのだけれど、「この茶碗は何年何月何日に何々様から何々の記念にいただいた」という丁寧なメモが入っていて処分しにくいんですよ。一番困るのは私の中に「捨てられない性分」という遺伝子を残されたことですね。
ただでもいいから誰か引き取ってくれれば、あとは何とでもなれと思うものは沢山ありますね。

くろねこ・ぷぅさんのコメント
2022/12/07

kuma0504さん、お返事に思わずまた反応してしまいますが、私の感想にはほとんど反応がないので、kumaさんは度々交流している感じ満載です。
本は小さなころからちゃんと読んでこなかったので、同時代の作家よりは昔の作家を、という感じに。昔の作家にはそれぞれ文章に個性も表情も癖もあるのですが、現代人のそれはどれも同じ顔に見えなくもなくなるべく買わずにいます。

私も映画を観たかったのですが、こちらでは短期間で終わってしまい見逃してしまいましたが、映画監督さんの創作はちょっと原作がもったいない感じですねぇ。
さて、梅干しですが私ならとりあえず、ちょびっと食べてみます。きっと昔の人の漬物は塩が力いっぱい!入っていると思いますので(高血圧の原因ともなるほどに)大丈夫に思えます!塩が甘くなってるかも。

私も読了以後おひたしにしたほうれん草や小松菜の根の部分を刻んでお味噌汁や納豆に混ぜて食べてます。

ありがとうございました。

kuma0504さんのコメント
2022/12/07

Macomi55さん、くろねこ・ぷぅさん、こんばんは♪

今日、勇気を出して、梅の大瓶を持ってきて開けようとしました。
明るいところで見ると、どうも父親が少なくともいっときは日常的に食べていたみたいで、蓋のところが少し傾いて、上1/5は無くなっている雰囲気があります。田舎梅なので、色はたいへん悪いのですが、浸かっていないところも乾いている風ではないようです。一応お酒に浸かってないところは除いて食べようかと、蓋を回したのですが、蓋開けが得意な私でも開けることができない!

父親が亡くなる直前まで食べていたとすると、30年ではなく、14年放置していたことになります。正に日本の猛暑化の時期と重なります。今は冬なので、中の空気が収縮しているのかもしれません。夏になれば膨張して開けることができるでしょうか。

プラスチックの蓋なので、火で炙ることはできません。あと一回は試しますが、展望はなさそうです。

くろねこ・ぷぅさん、確かに映画は映画、原作は原作。私も山椒味噌は材料がないけど、身近ないろんな合わせ味噌やってみたいと思っています。

Macomi55さんのコメント
2022/12/08

kuma0504
せっかく勇気を振り絞ったのに開かないですかあ。開いたら結果を教えて下さいね。ところで、梅干しだと思ってたのですが「お酒に浸かっていない所」と書いてあるので、梅酒でした?それともkumaさんのところの梅干にはお酒入ってます?

kuma0504さんのコメント
2022/12/08

Macomi55さん、
ウチはいつもホワイトリカーに漬けていたので、梅干しってそういうものだとずっと思っていました。が、今ネットで調べて愕然としています‥‥。そういえば、梅干しで酔ったという話は聞いたことがないなぁ。
マズイ!運転しているので、危ないところでした。ネットでは梅は取り除いて、純粋にお酒を楽しむのが本来らしいですね。
ひとつの目安であるカビは生えていないので、未だ可能性はあると見るべきか‥‥。

Macomi55さんのコメント
2022/12/08

kuma0504さん
梅干しは梅を干してから塩と赤紫蘇を入れて漬けるので、梅干しなら瓶に赤紫蘇が一緒に入っている可能性が高いですね。
梅酒は生のままの梅を氷砂糖とホワイトリカーに漬けますね。何となくですが、梅酒のほうが保ちがが良さそうですかね?

kuma0504さんのコメント
2022/12/08

Macomi55さん、
赤紫蘇は入っているんですよ。全然梅は赤く染まってはないですが、でも酒らしきもなのが半分近く浸かっている。これは梅酒ですよね。多分。こんなに梅エキス出てこないですよね。作るところは一回も見たことないので、わからないのです‥‥。
ま、ともかく蓋が開かないと何にも始まらない。なんか道具買ってこようかな。

Macomi55さんのコメント
2022/12/08

kuma0504さん
梅の果汁でしょうか?干さずに入れられているとしたら、それくらい果汁が出ていてもおかしくないかもですね。それとも梅&赤紫蘇酒?  どちらにしても興味あります。食べられても食べられなくても開けてみて下さいね。

くろねこ・ぷぅさんのコメント
2022/12/14

師走ですし、蓋はあけてないものと思われますが、ネットには開かない蓋の開け方がいろいろ載っているようですね。
瓶詰めのものや自家製の飲み物のフタは得てして開かなくなりますね。
水分は焼酎ではなく「酢」という可能性はどうでしょうか。
アルコール漬けも酢漬けも、なんか大丈夫な気がいたします(笑)。
塩は金属なので永遠に食べられ、アルコールもウイスキーやワインを考えても大丈夫なので~。
いつかフタの開くことを!!

kuma0504さんのコメント
2022/12/14

くろねこ・ぷぅさん、こんばんは。
未だ開いていません。
この間、ホームセンターで道具を探してみたんですが、直径7センチのしかなかったり、zoom会議の合間にちょっと見てもらったら、中に入っているのホワイトリカーかもしれないけど、こんなに梅が詰まっているのは、梅酒用じゃないだろう、あんまり悪くなっていないんじゃない?との意見でした。

くろねこさんのネット情報見てみました。試していないのが幾つもあったので、やってみたいと思います♪開いたらまた報告しますね。

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