「仙台ぐらし」が良かったので、それ以外の唯一のエッセイ集を読んでみた。
題名の由来は、エッセイが苦手な著者がデビュー十周年を記念して365×10、閏年が2回あるので+2として「3652」としたらしい。確かにノリノリでエッセイを書いている気配はないのだが、それでも顧客サービスは忘れない姿勢が、私は好きである。
お気に入りは
●「アメリカンコーヒーゲーム」(2002年)。客が意思統一した様にアメリカンコーヒーを次々と注文する。もちろん著者もそれを「やり遂げる」。処が、後ろの女性がホットココアを頼んだ。
失敗した選手の顔をしげしげと眺めないくらいの礼儀は僕にもあった。自分のカップを受け取りながら、小さく舌打ちをしただけだった。僕は涼しい顔をしたまま、しかし内心では「ミスしやがって」と呟き、店内を進んだ。「気にすることはない、次回、頑張ればいいんですよ」と心の中で相手を励ます余裕もあった。(26p)
更には、単行本化のときに「注」を施し「このエッセイはとても気にいっているんです。まあ、実際に、舌打ちはしなかったと思いますけど(笑)。」という自分ツッコミをするサービスまでしている。
●「父も犬好き」(2006年)というエッセイでは、一度も犬を飼ったことがないのにも関わらず、著者の父上は常にポケットにドッグフードを入れていると書いている。出会った犬を喜ばす、そのためだけに常日頃から準備しているのである。あゝホントに伊坂幸太郎の小説に出てくる登場人物が現実にもいるのだ、と楽しくもあり、淋しくも思った。もちろん短いエッセイの終わりには「オチ」を付けている。(省略します^^;)
●伊坂幸太郎が会社を辞めて小説に専念しようと決心したキッカケの曲は、斉藤和義の「幸福な朝食、退屈な夕食」だったらしい。単に忘備録としての私用のメモです(^_^;)。
2013年6月5日読了
- 感想投稿日 : 2013年6月12日
- 読了日 : 2013年6月12日
- 本棚登録日 : 2013年6月12日
みんなの感想をみる