光文社コミック叢書SIGNAL 『 歩くひと PLUS 』 THE DIRECTOR’S CUT EDITION

著者 :
  • 光文社 (2010年3月30日発売)
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感想 : 18
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文庫本の感想は2020年12月に既に書いた。本書は、「歩くひと」17編に全面オールカラーの1編を加え判型を大型にして、以下の諸編を加えた豪華版である。とても読み応えあった。
・サスケとジロー(94年発表のエッセイに大幅な加筆をした作品。飼い犬と自身のこと等を綴ったエッセイ)
・夢のつづき(95年発表)
・夏の空(06年発表)
・月の夜(06年発表)
・彼方から優しき声が聞こえる(01年発表)

値段の関係で長いこと手が出せなかったが、最近漫画は所蔵しない方針の県立図書館に置いていることが判明。手塚治虫「アドルフに告ぐ」など、司書の判断で入れているのもあるそう。だとしたら私のリクエストした「考古遺跡発掘ワーク・マニュアル」なども拒否しないで欲しい。

‥‥それは兎も角、
台詞が少ない本作は、国際的にも評価が高く、谷口ジローはコスモポリティカルな価値がある。図書館蔵書として相応しいということなのだろう。

全面カラーの「川を遡る」。時期は、ちょうど春の始まりのこの頃。大通りから外れてちょっと路地に入り、やがて広い川原に出る。小鳥を眺め、渡り鳥の傍らをゆき、「なにもかからんほうがいいです」という老人の釣り人と言葉を交わして、ただただ川原をゆっくりと歩く。淡いグリーンの川原。淡い水色の川。淡い空(←そういえば、表紙の色が殆どソレ)。それだけの作品です。

日本でも、ヨーロッパでも、そういうひと時がどんなに貴重なものか、多くの人が、読んだらおそらく感じる、つい昨今だと思う。
(2010年3月25日発行)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: あ行 フィクション
感想投稿日 : 2022年3月13日
読了日 : 2022年3月13日
本棚登録日 : 2022年3月13日

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コメント 15件

土瓶さんのコメント
2022/03/13

kumaさん(かってに数字は省略させてもらいました)、こんばんはー。
最近は足が遠のいてますが、あちこちの図書館を覗くと、たしかにマンガの数は少なく、しかも偏ってる気がしますねー。
手塚治虫さんの作品はなぜかやたら多い(火の鳥とか、アドルフに告ぐとか)。
電車の時間待ちに、駅のそばにある某図書館でたまたま手に取った少女マンガの「君に届け」がやたらとおもしろくて、恥ずかしげもなく熱中して読んで、電車を一本やり過ごして読んでいたのはいい思い出ですw

kuma0504さんのコメント
2022/03/13

土瓶さん、こんばんは。
くまでもいいですよ(amazonではそれで登録)♪アルファベットと数字の組み合わせってめんどくさいですよね。

図書館のマンガ置かない方針、それはある程度は理解できるんです。でも徹底はしていないのならば、何が基準なのかよくわからない。試しに、「白土三平はないだろう」と思って検索したら「カムイ伝第一部」「サスケ」「シートン動物記」は置いていました!ならば、第二部まで置けよ!とは思いました。坂口尚は流石に置いていない。マンガの絵の革新という点では、谷口ジローと同等と、私はみているのですが。
「君に届け」を置くとは‥‥。そう言えば、猫丸さんの図書館では「健康で文化的な最低限度の生活」が置いてあるそうです。羨ましい‥‥。
また、おいでください。

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/03/14

kuma0504さん 土瓶さん
市立図書館には、結構色々なマンガを蔵書しているのですが、利用者のマナーが、、、信じられないくらい汚れた本があって嫌になります。

土瓶さんのコメント
2022/03/14

なるほど。
たしかにそういうイメージがありますね。
巻が揃っていなかったり、あまりに汚かったりすると、手に取る気が失せますね。
残念です(ToT)

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/03/14

土瓶さん
しかも、、、

大阪市:報道発表資料 株式会社辰巳商会と中央図書館にかかるネーミングライツ協定を更新し、こども向け図書の寄附に対する市長感謝状贈呈式を行います
https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kyoiku/0000529457.html

この金は何に使われるんだろう?
スミマセン脱線してます。。。

土瓶さんのコメント
2022/03/14

う~~~ん。
違和感しかない。
「商会」と図書館って……。
いろいろ事情はあるんでしょうけどねぇ。

kuma0504さんのコメント
2022/03/14

猫丸さん、
たった200万円で、図書館の「権威」を商会に売るのか?感謝状まで出すのか?
こいつらが、大阪府立弥生博物館を潰そうとしたことを、私は今でも忘れない。他県の自治運営のことだけど、彼らの文化行政にはずっと危機感を持っています。

話が脱線、元に戻せば、
マンガは人一倍「消耗品」という意識があるのかもしれません。そういえば私も中学生の頃に買ったマンガ単行本は全てボロボロになって跡形も残っていない‥‥。難しい問題です。

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/03/15

kuma0504さん 土瓶さん

実は、1.宝達志水のまんが図書館→2.大阪国際児童文学館→3.大阪府立中之島図書館→4.こども本の森→5.ネーミングライツ(2~5は維新への不満)と長くなったので、マクラを変えてネーミングライツだけにした筈が、、、いきなり本題に。意味不明ではないですか、、、

「暴力」除外もゴルゴOK 宝達志水のまんが図書館 「有害図書」明確基準なく|文化|石川のニュース|北國新聞
https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/682501

E2202 - 大阪市立中央図書館のネーミングライツ協定締結について | カレントアウェアネス・ポータル
https://current.ndl.go.jp/e2202

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/03/15

追記
> マンガは人一倍「消耗品」
子どものモノ(絵本や玩具とか)は全てそうですね。

その昔、古書を探したました、、、

カバヤ児童文庫《デジタル岡山大百科》
http://digioka.libnet.pref.okayama.jp/mmhp/kyodo/kabaya/bunko/index.htm

土瓶さんのコメント
2022/03/15

猫丸さん、こんばんは。
そもそも「有害図書」なるものは存在するんですかね?
どんな図書も誰かにとっては有害で、誰かにとっては有益になるものじゃないでしょうか?
逆に、誰にとっても無害である図書なんて、意味があるのかな。
読んでもなんの感慨も持てない。感情を動かしてくれない図書って……。
ぶわっと、上から網をかけてしまうようなやりかたは反対です。
せいぜい、貸し出しや閲覧にゆる~く年齢制限をかける程度にして欲しいものです。
子供の頃は「見ちゃいけません!」て、いわれるものほど興味が湧くものですしね。

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/03/15

土瓶さん
勿論です!有害の見本と言われている猫の言葉を信じましょう、、、
一つは為政者の嘘八百に、疑いを抱かせる焚書モノ。
もう一つは、万民の不満を他人になすりつける為だけに書かれた恥知らずなヘイト本。

司書課程で先生が「図書館に置く必要が無いと思うのは、ポルノくらいかなぁ」と仰言った。

kuma0504さんのコメント
2022/03/15

猫丸さん、土瓶さん、
「カバヤ文庫」って、存在そのものを今初めて知りました。粋なことをしていたんですね。今カバヤは、ひたすら「ライフデザインカバヤ」として住宅を売っているCMばかし流しています。もちろんお菓子も作ってるようだけど。

有害図書‥‥
手塚治虫の初期作品は有害図書運動との戦いでした。それが今では、特例として県立図書館に所蔵される。「ポルノ以外は‥‥」は蓋し名言です。

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/03/16

kuma0504さん
> 手塚治虫の初期作品は有害図書運動との戦いでした。
その話はよく聞きますが、いつ頃までなんでしょうね?

猫の憶測ですが、手塚治虫作品への許容は
TVマンガ「鉄腕アトム」からじゃないかな?
恐ろしく社会性のある作品を輝かしい未来を映している。と誤解させた張本人は、主題歌を作った谷川俊太郎と高井達雄。。。
この二人のお蔭で明るく健全な作品として認知された?

kuma0504さんのコメント
2022/03/16

猫丸さん、
確かにアニメ「鉄腕アトム」から急速にマンガの知名度は上がったのでしょう。私の生涯Bestの一つである「ジャングル大帝一巻」を買ってもらったのもその頃ですし。でも、確か「不思議なメルモちゃん」は、裸の表現が良くないとアニメ打ち切りになったという記憶があります。手塚治虫は巨匠になっても、いつも人気を気にしていました。最後まで少年マンガにこだわったのもそのためです。

この前「ジャンプ」を立ち読みしたら、その過激な表現に私なんかとてもついて行けませんでした。50年前の親たちに見せてあげたいくらいです。

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2022/03/16

kuma0504さん
「メルモちゃん」打ち切りだったんだ、、、知りませんでした。
年代的にどの程度離れているか判りませんが(調べろよって言わないで)永井豪の「キューティーハニー」も際どかったけど、、、

> 50年前の親たちに
子どもには読ませないけど、親たち自身はコッソリ?読むかも。。。

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