10代の頃に読んだ時、内容よりも著者の脱マンガ的な絵柄・技法に強く惹かれたが、再読しても相変わらず凄いと思った。ここでこういうアングルかぁ、こういうコマ処理(作品内での時間管理)をするかぁとか感心しきりだった。青年誌向けにキャラの顔をかなり掘りの深い描き方をしていて、当時著者が対抗意識をもっていた劇画調というのとも違って手塚マンガのティストが残っていて独特の味わいがあり、たぶん多くの手塚ファンも著者も気に入らないというような気がするが、自分は青年誌向けの著者のキャラの描き方はかなり好き。後年の『アドルフに告ぐ』や『陽だまりの樹』に比べると著者がまだ若くかなり背伸びというか、自分の体質にあわないものを無理して描いている感は否めないが、庶民が権力に蹂躙されること(その最たるは戦争だが)に対する憎悪や怒りといったものが通底しているところが著者らしいと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2024年4月26日
- 読了日 : 2024年4月26日
- 本棚登録日 : 2024年4月26日
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