終末のワルキューレ 3 (ゼノンコミックス)

  • 徳間書店 (2019年3月20日発売)
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感想 : 13
5

最高、その感想しか出ないですよ、本当に
つくづく、私は漫画読み、感想書きとして、未熟だ、と思い知らされています
まだまだ、最良の漫画をたくさん読みたい、その欲望が渦巻き、つまらない事で死んじゃいられない、と思っています、私は
しかし、その一方で、この漫画になら殺されてもいいなぁ、この『終末のワルキューレ』が生涯で最期に読んだ漫画になってもいい、と本気で言えます
どうやったら、こんなにも最高な漫画が描けるのでしょうか

世辞でも何でもないんですが、少なくとも、今、私の中で、この『終末のワルキューレ』は、現在の、みなぎ得一先生、内藤泰弘先生、平野耕太先生、そして、クール教信者先生をブチ倒しています
さすがに、一発KOで倒せる相手じゃありません、四人は。梅村先生達は、ゴリゴリの殴り合いの末に勝った感じです

作品から感じる、読み手へ向けた“殺気”も、ハッキリ言って、藤田和日郎先生と羽海野チカ先生に匹敵しています
三人が協力している事を差っ引いても、この二人、いや、二匹の怪物に劣らないのは、マジに凄いです
藤田先生は、弟子の福田宏先生と、週刊少年サンデーの誌面上で、毎回、ぶん殴り合う事で、更に成長しています
羽海野先生も、化物揃いのヤングアニマルで、正に熊のごとき存在感を醸し、圧倒しています
そんな二匹にすら勝ってしまうのでは、と戦慄するほど、この(3)で描かれた、アダムvsゼウスの素手喧嘩、ただただ、シンプルな真正面からの殴り合いは凄まじかったです
決して、一回戦の呂布vsトールの激闘、全力以上を絞り尽くした末に敗北して、イイ笑顔で散った呂布の誇りを貶す意図はないんですが、やはり、漢たる者、喧嘩は素手だな、と感じるほど、熱かったです

正直なトコを申しますと、ど変態バトルジャンキー爺のゼウスに関しては、良い印象がなかったんですけども、アダムとの戦いに本気モードを出し、なおかつ、外聞も立場も擲って、男としての意地だけで殴り合った姿には、ほんの少し、カッコイイ、と思ってしまいました

どちらが勝ったか、そこは伏せようかと思ったんですが、やはり、我慢が出来ません
確かに、結果だけ見れば、死んだアダムは敗者扱いでしょう
しかし、あのゼウスは先に地面に倒れ、アダムを見上げる形となり、その口から「お前の勝ち」と言わせ、心から「大した男」と認めさせました。その上、人間の魂に希望の光を灯らせました
呂布と同じく、誇りを最期の一瞬まで失わなかった、気高し敗者、と私は讃えたいです

そして、第三戦に挑むのは、人類史上で、最も有名な敗北者と表しても違和感がない剣士、佐々木小次郎
宮本武蔵に負け、死んでも、天下無双だけを目指し、その才能を研鑽し続けた
彼の「全盛期」は常に今であり、なおかつ、まだ、成長しているのです
老い、渋みが出ている彼は、間違いなく、これまでの「佐々木小次郎」像を完全にぶった切るでしょう
その佐々木小次郎が立ち向かうは、あのゼウスに匹敵する危険性の塊たるポセイドン
佐々木小次郎が壮年、ポセイドンが青年、そんな容姿の差も、これまた、グッと来ますね
剣士vs鎗使い、一体、どんな戦いになってしまうのでしょうか
もう、(4)が楽しみすぎて、やっぱり、死んじゃいられませんし、殺されている場合でもありませんね

どれも強烈で、お勧めの回が選べないほどですが、印象的だったのは、アダムがイブの為に裁判所へ乗り込んだシーンでした
諸説あるんでしょうが、私は蛇の舌が二股に裂け、手足がない理由には、これを推したいです

この台詞を引用に選んだのは、アダムの「父」としてのカッコ良さに、ノックアウトされてしまったので
あくまで、自論ですけど、女性と言うのは、産みの苦しみを体で知って、子供を産んだ瞬間に、母親になると思うんです
けれど、男は痛くもない、苦しくもない、だから、子供が産まれた時に、父親になれない
だからこそ、男は育児の時間の中で、少しずつ、努力して、父親になっていくしかないと思うんです
きっと、アダムも最初から、カッコ良いお父さんじゃなかったはずです
色々と失敗をして、子供と一緒に成長していったからこそ、最期までカッコイイお父さんとしての姿を、全ての「子」に見せ続けられたのです
子供を守るためだけに、愛だけを握った拳を使ってこそ、良い父親でしょう
どれほど、仕事でストレスが溜まろうと、人間関係で疲れていても、自分の子供に暴力を奮う、それは父親失格の行為
そういう奴には、アダムに拳骨を落としてもらいたいものですよ
「ハァ、キミまで、そんな事言う。どいつも、こいつも。『憎しみ』?『復讐』?どれもいらない。『なぜ』はない。子供たちを守るのに―――理由なんて、いるのかい」(byアダム)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(徳間書店)
感想投稿日 : 2019年4月7日
読了日 : 2019年4月7日
本棚登録日 : 2019年3月20日

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