ナナとカオル Black Label ファイナル同人誌つき初回限定版 5 (ジェッツコミックス)

著者 :
  • 白泉社 (2014年7月29日発売)
4.67
  • (5)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 60
感想 : 2
5

どこまでもエロい漫画
ただ、好みが強く分かれるであろう濃い絵柄だけでなく、SMの本質だけでなく、他人を想う、それ自体に迫るストーリーが何よりも官能的で、一気に心を乱される
読み終わり、感動がいくらか冷めてから、思わず首を捻ってしまった、「この漫画は一体、何のジャンルに入るんだろうか?」と
大区分はまず、青年漫画であるのは確実だ。けれど、SMがメインのテーマでも、高校生の男女が、己の気持ちを縄で縛り、縄で縛られる事でしか曝け出せない、そんな異常性をリアルに描き上げてある以上、単なるエロ漫画で済ませて良いはずがない。けれども、話の時期が夏とは言え、安易に青春と括るには、アブノーマルにも程がある・・・・・・
当たり前の話だが、この『ナナとカオル』は甘詰先生だからこそ描けた漫画。私が一流だと思っているエロ漫画家、なるさわ景先生やNoise先生が仮に、似たような内容の漫画を描いたとしても、興奮すれども感動には至れなかっただろう。甘詰先生が、このラストへ持っていった『ナナとカオル Black Label』には並みの漫画が持てない、読み手のハートの奥底まで届くパンチ力をしっかりと秘めていた
一般向きの恋愛漫画を何十冊と読んでも、自問自答が止まらない方がいたら、是非、読んで欲しい。求める答えが見つかる、そんな適当な事は言えないが、確実に新しい扉が開いて、自分の気持ちや相手への観方が変わる事は断言できる
私は性格でなく、性質的に向いてないからこそ、真面目に思うんですが、SMってそんなに一般からズレてない感性の持ち主の普通な人らが思うほど、変態な行為なんですかね?
どの話も胸に迫るが、やはり、最も破壊力があったのは、Cページを含み、何より、ナナとカオルの気持ちが、読み手に伝わりやすいカタチで重なった第42話「ハングオーバー! 吊られたナナと史上最高の縄酔い」だろう(私が、この漫画を推薦する理由の一つには、センスのいいサブタイトルもある)
それに加え、特別付録の同人誌が、一流漫画家のナナカオ愛が咽るほどに凝縮されていて、本編に負けていない点も高評価の理由。「先生方、自分の仕事の時間を削ってまで描いてませんか?!」ってツッコみたくなるほど本気な作品ばかりで甲乙つけがたいが、個人の好みで言えば、丈山雄為先生の「座薬・オブ・舘」ですね
しかし、この作品もそうだが、『3月のライオン』、『自殺島』、『当て屋の椿』と言い、ヤングアニマルには人間の心理を美しい部分も、恐ろしい一面もリアルに表現し、それが読み手の顎を揺らせる漫画と、その描き方に長けた漫画家が集まるなぁ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(白泉社)
感想投稿日 : 2014年12月14日
読了日 : 2014年12月14日
本棚登録日 : 2014年7月29日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする