怖い絵3

著者 :
  • 朝日出版社 (2009年5月28日発売)
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本棚登録 : 1213
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私は小さい頃(おそらく年長~小学校低学年)、人間は大きな貝殻から生まれたのだと思っていた(なのでその後進化論を知ったときキリスト教徒並に驚いた)。どこで目にしたのだか今となっては覚えていないが、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」が幼い私にいかにインパクトを与えたかはわかる。絵画は知識や解説がないととんでもない解釈をしてしまうことがあるけど、初見の印象というのは深く残るものなんだろうと思う。
そんな思い出深い「ヴィーナスの誕生」がこの本では怖い絵として紹介されている。このシリーズで言う「怖い」とは単純に視覚的に怖いというのと、描かれた時代的、社会的背景などを踏まえてみると怖いというのと二通りある。両方に当てはまるものもある。「ヴィーナスの誕生」は見た感じはきれいな絵。だけど美しい女神はけっして貝殻などというメルヘンチックなものから生まれたのではなかった。誕生の真相が「怖い」と中野京子さんは言っている。
視覚的に怖いのは圧倒的にルーベンスの「メドゥーサの首」。蛇嫌いの私には気持ち悪さと怖さの極致でとてもじゃないが直視できない。こんなのににらまれたら石になるというのもわかる。
「怖い絵」と「名画の謎」シリーズは一通り読んだが、「名画の謎」の方が一冊ごとにテーマがまとまっていて頭に入りやすい。「怖い絵」は時代もテーマもバラバラな作品が収録されていて、ギリシャ神話からロマノフ王朝、お次は中世イタリアと作品順に何の脈絡もないので続けて読んでいると脳みその切り替えが大変。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 芸術
感想投稿日 : 2016年6月2日
読了日 : 2013年7月26日
本棚登録日 : 2013年7月25日

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