すごく綿密な人物設定があることを感じさせられる。この人はこんな時どういう行動・反応・表情をするのか、といったことが細部にわたり描かれていて、そういう人間心理を読み取っていくのが楽しい。印象に残ったのは、神父さんがチボー氏の驕慢を指摘する場面や、アントワーヌが弟の扱いについて両極端の考えに振られる様子、少年園で精神的に貧弱になりかけたものの、家に戻りまた元のギラギラ感を取り戻しつつあるジャック、など。やっぱりチボー家の人間たちに注目してしまうけど、脇役たちの描写にも手抜きはなく、それぞれがしっかりと役割を持っている。特にダメ旦那に苦しめられながら、子供たちには暖かい家庭を与えているフォンタナン夫人は偉いなあ、と感じた。ダニエルはなんだか即物的な人間になっていきそうな予感でちと心配。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外文学
- 感想投稿日 : 2018年1月26日
- 読了日 : 2018年1月26日
- 本棚登録日 : 2018年1月24日
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