雪女 (日本の童話名作選)

  • 偕成社 (2000年1月1日発売)
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感想 : 20
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表紙の、「見たな」と言わんばかりの、雪女の視線に、怖いと思いながらも、つい魅せられてしまう、その美しさ。

幻想的で、どこかもの寂しげな雪景色の中に、妖しくも美しい雪女が佇む、伊勢英子(いせひでこ)さんの絵を見ながら読む、小泉八雲の「雪女」は、とても贅沢な組み合わせに思われて、より物語を楽しむことができました。

幼い頃に読んだ時は、ただ怖い印象しかなかったのですが、今読むと、何か雪女の行動に理屈だけでは説明できない、奇妙な感慨めいたものを感じさせられ、最終的には怖さよりも哀愁の方が勝りました。

人間一人殺しているのに、その後の生き方を見て、それすら押し退けるくらいの情を、雪女に対し感じさせるのは何故なのか?

おそらく、雪女は人間ではないが、その反面、ものすごく人間っぽい一面を覗かせたように感じた、そこに関しては、分かる気がする思いにさせられ、その後の決断に感じたやるせなさには、私も経験したことがあるような、心の痛みを感じられたからかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外絵本
感想投稿日 : 2022年4月7日
読了日 : 2022年4月7日
本棚登録日 : 2022年4月7日

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