本書は、ジャンニ・ロダーリが1960年に発表した詩を、緊急絵本化したもので、ロダーリの詩では、当時広く使われていたロシア語の『キエフ(Kiev)』表記だが、本書ではウクライナ語「Kyiv」に基づく『キーウ』を用いており、ウクライナの首都です。
ジャンニ・ロダーリって、どこかで聞いたことあるなと思ったら、以前『パパの電話を待ちながら』を読んだことを思い出し、その中での、温かいユーモアに包まれた、彼の、子供に対する優しさを感じられた物語は、特に印象的でした。
また、翻訳者の内田洋子さんのメッセージの中に(絵本ナビニュースより)、ロダーリの作品は、『美しい国語=きれいな心を保つ』ためのお手本的存在とあり、それはちょうど、キーウで子供たちも見上げているであろう、月の、つつましやかで美しく優しい光のきれいさに、なぞらえているのかもしれませんし、ロダーリが、他のどの国でもなく、ウクライナのキーウの月を挙げていることにも、何か大切な意味があるようにも、感じられました。
そして、ベアトリーチェ・アレマーニャの月の絵は、太陽のようで、両手いっぱい広げて、皆に光を届けているように見える存在感があり、ロダーリの詩の中の、『わたしの光は パスポートなしで旅をします』には、国境など一切関係無く、全てに等しく与えることの大切さを教えてくれた気がします。
実は、本書の感想を、十五夜(中秋の名月)に投稿するつもりでいたのですが、旧暦の日付は新暦に直すと、毎年ずれが生じるため、十五夜の日付が毎年異なるというのを知らなくて(今年は9月10日)。
こんな無教養な私ですが、月を見上げて、ウクライナの事を考えてみようと思います。
ちなみに、この絵本の売り上げによる利益、翻訳料、デザイン料はすべて、イタリア赤十字社およびセーブ・ザ・チルドレンに寄付されるそうです。
- 感想投稿日 : 2022年9月15日
- 読了日 : 2022年9月15日
- 本棚登録日 : 2022年9月15日
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