キーウの月 (講談社の翻訳絵本)

  • 講談社 (2022年8月4日発売)
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本棚登録 : 229
感想 : 20
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本書は、ジャンニ・ロダーリが1960年に発表した詩を、緊急絵本化したもので、ロダーリの詩では、当時広く使われていたロシア語の『キエフ(Kiev)』表記だが、本書ではウクライナ語「Kyiv」に基づく『キーウ』を用いており、ウクライナの首都です。

ジャンニ・ロダーリって、どこかで聞いたことあるなと思ったら、以前『パパの電話を待ちながら』を読んだことを思い出し、その中での、温かいユーモアに包まれた、彼の、子供に対する優しさを感じられた物語は、特に印象的でした。

また、翻訳者の内田洋子さんのメッセージの中に(絵本ナビニュースより)、ロダーリの作品は、『美しい国語=きれいな心を保つ』ためのお手本的存在とあり、それはちょうど、キーウで子供たちも見上げているであろう、月の、つつましやかで美しく優しい光のきれいさに、なぞらえているのかもしれませんし、ロダーリが、他のどの国でもなく、ウクライナのキーウの月を挙げていることにも、何か大切な意味があるようにも、感じられました。

そして、ベアトリーチェ・アレマーニャの月の絵は、太陽のようで、両手いっぱい広げて、皆に光を届けているように見える存在感があり、ロダーリの詩の中の、『わたしの光は パスポートなしで旅をします』には、国境など一切関係無く、全てに等しく与えることの大切さを教えてくれた気がします。


実は、本書の感想を、十五夜(中秋の名月)に投稿するつもりでいたのですが、旧暦の日付は新暦に直すと、毎年ずれが生じるため、十五夜の日付が毎年異なるというのを知らなくて(今年は9月10日)。

こんな無教養な私ですが、月を見上げて、ウクライナの事を考えてみようと思います。

ちなみに、この絵本の売り上げによる利益、翻訳料、デザイン料はすべて、イタリア赤十字社およびセーブ・ザ・チルドレンに寄付されるそうです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外絵本
感想投稿日 : 2022年9月15日
読了日 : 2022年9月15日
本棚登録日 : 2022年9月15日

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コメント 6件

Macomi55さんのコメント
2022/09/15

たださん
この本の翻訳は内田洋子さんなのですね。とても味のあるエッセイを書かれる方なので、翻訳に興味があります(もちろん、元の詩にも絵にも興味ありますが)。
そうそう、今年の十五夜は10日でしたね。私は最近、夜走ってるのですが…(^^)、お月様の写真を撮ってる人を何人か見ました。満月の翌日にはもう真ん丸の月ではなくなってるのだということも初めて実感しました。でも、昨日も一昨日も、黄色くて、大きくて、とろけるような月でしたよ。

たださんのコメント
2022/09/16

Macomi55さん
コメントありがとうございます(^_^)
内田洋子さんは、他の作品について、フォローしている方のレビューが素晴らしかった記憶がありまして、私も読んでみたくなりました。イタリアの事は、全く分からないのですが。

そういえば!
何かのレビューで見ましたよ。
夜走ってること。
最近、ようやく朝夜と涼しくなって、ランニングには最適ですよね。私は、早朝からの仕事で、早く寝ないといけないので、ランニングは出来ませんが、高校時代、陸上部(長距離)だったので、その爽快さは分かりますよ。

月って、なんであんなに神秘的なのでしょうね?
満月は勿論そうですが、少し欠けて見えても充分で・・『とろけるような月』、素敵ですね(^_^)

Macomi55さんのコメント
2022/09/16

たださん
高校時代、陸上部だったんですか。羨ましいです。私は、今まで全然スポーツしてこなかったんで、今の行動に出るのに勇気がいりました。でも、逆に「自分じゃない人」になれている時間が持てるようになり、爽快です。今、陸上部で中長距離やっている娘がどんなにすごいかやっと分かりました。

たださんのコメント
2022/09/17

Macomi55さん
陸上部といっても、将来有望とかでは全くありませんでした。
ただ、それでも続けていくうちに、何となく、走ることの楽しさは、分かってきたかなというのはありましたね。

それにしても、Macomi55さんの、その勇気というか、はじめの一歩、いいですね。自分のことのように嬉しく感じます(^o^)

『「自分じゃない人」になれている』、この感じは、まさに、私が走っていたときに感じた思いだったので・・さすがに、部活の時はハイペースだったので、爽快感を得るのは、低確率でしたけどね。

娘さん、陸上部で中長距離されているのですね。中距離って、長距離より楽だろうって思う方もいそうですけど、距離が短くなる分だけ、ペースを上げないといけないので、キツいことに変わりはないんですよね。
それでも果敢に挑み続ける、その直向きな気持ち、やはり青春だなあって、私は思ってしまいますし、その時しか出来ないことというのも、あるのかもしれませんしね。

でも、いいですね。親子間で、共通するものがあるって。
いつかは、娘さんと一緒に走ることを夢見る、そんな楽しみもありますよね。

Macomi55さんのコメント
2022/09/18

たださん
なんか照れますね。
有難うございます。
ちなみに私は「走ってる」と言ってますが、他の人が見たらめちゃめちゃ遅い…、速いウォーキングと変わらないくらいです。それ以上のペースだと完走出来ない(3.6km)ので:D。

たださんのコメント
2022/09/19

Macomi55さん
ウォーキングでも、無理をされるよりは、全然いいのではないでしょうか。それに、ウォーキングでも、充分、有酸素運動になって、心にも体にも良いと思いますので。

それから、これは私の経験談なのですが、地道に続けていると、思いもかけないところで、急に速いペースで走れたりする瞬間が訪れるかもしれませんので、まずは楽しくやるのが一番だと思います(^o^)

何だか偉そうに書いてしまって、すいません(^^;)

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