靴を売るシンデレラ (SUPER!YA)

  • 小学館 (2009年7月15日発売)
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感想 : 47
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如何にもアメリカらしい、ハリウッド映画を思わせるような、ユーモアと波乱に満ちた展開。
でも、それだけではないところに、この作品の良さがあると思いました。

グラッドストン靴店で働く、靴の販売に長けた16歳の高校生、「ジェナ・ボーラー」と、そこの老・女社長、「マデライン・グラッドストン」の、キャデラックを手懐けながらの長いドライブの旅は、新感覚のお仕事ロード小説となっておりますが、それ以上に印象に残ったのは、ジェナの愛すべき人柄でした。

アメリカのティーンエイジャーは、明るくポジティブなひとつのイメージを持っていたが、どこの国も、家族について悩み苦しんでいることには共通点があり、その内容は、父のアルコール中毒に、両親の離婚による、母の過酷な労働状況、ジェナに甘えたい妹に、アルツハイマー病のおばあちゃんと、日本人が共感できるもので、それに対して、必死で向き合いながらも、時に、「なぜ?」が胸中に湧き起こる感覚を否定できなかったジェナ。

必死で向き合うのは、それだけ家族の事を愛しているからだと思い、その優しさに読んでいる私も胸が熱くなるが、それだけでは駄目なことに、ジェナは今回の旅を通して、気付き、学び、そして実行に移す過程には大味な感じではない、納得できるものがあり、物語の素晴らしさを感じました。

また、個人的には、人間の足(足首から先の部分)には、26本の骨、19の筋肉、33の関節、107の靱帯があることを知り、自分の足に最適な靴を選ぶことが、如何に大切なのかを実感したことも印象的で、自分一人で試し履きするだけだと、判断が難しいんですよね。

そんな時、ジェナみたいな、物でなく人間を見てくれる接客をしてくれる靴店があれば、私もぜひ行きたいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外児童書
感想投稿日 : 2021年12月26日
読了日 : 2021年12月26日
本棚登録日 : 2021年4月4日

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