ぬいぐるみおとまりかい (えほんのぼうけん (63))

著者 :
  • 岩崎書店 (2014年8月8日発売)
3.88
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本棚登録 : 278
感想 : 22
4

今日の図書館は、ぬいぐるみを手にした子供がたくさん訪れて、いったい、何が始まるのかと思ったら、「ぬいぐるみおとまり会」らしく、まずは、ぬいぐるみと絵本のおはなし会で、その時の、大好きな友達と一緒にいるような嬉しさが、それぞれのぬいぐるみの抱き方で感じ取れるのが印象的で、膝に載せている子や、後ろから腕を回している子、様々です。

そして、おはなし会が終わったら、ぬいぐるみにお布団をかけてあげて・・って、そうか。『ぬいぐるみのおとまり会』ってことなのね。てっきり、子供たちも一緒に泊まれるのかと思ってました。

でも、これは大好きなら大好きな程、辛いかもしれないね。たかが一日だけとはいえ、子供の一日は長く感じられると思うし、この場面も、泣きだしてしまう子や、寂しそうな表情で手を振っている子など、こうした場面の、岡田千晶さんの描く子供の絵は、表情も仕草もそれぞれに、真っ直ぐな繊細さを感じさせられて、子供たちのぬいぐるみへの『好き』の思いが、痛いほど伝わってくる。

そして、夜の図書館は、眠っているぬいぐるみ達のスイートルームになるのかと思いきや・・・あらあら、結構やんちゃに好き放題で、すごいことになってきたぞ(^^;)

しかし、読んでいる内に、これは子供たちとぬいぐるみの共通点を感じられる場面に思われてきて、子供たちが、なぜあんなに無二の親友のように、ぬいぐるみに愛着を持っているのか、それが分かるような気がしました。

それは、ぬいぐるみも子供たちのような純粋な心を持っているからであり、だから、子供たちと同じような事を楽しく感じられたり出来るのだなと思うと、ここの場面も肯けるものがあり、図書館の人達に見つかったときのリアクションなんか、本当にそっくり。

また、その後の彼らの振る舞いを見て、ぬいぐるみへの接し方が、そのまま子供たちへの接し方にもなりそうで、それは、ご両親にとっても、ひとつの指針になるのではと思ったのが印象的で、ここにも、ぬいぐるみと子供たちの共通点があるようです。

そして、その後のぬいぐるみ達の寝顔には、子供たちの特権である、思いっきり遊ぶことをやり遂げた満足感でいっぱいなのが、よく分かり、最後の最後まで、子供たちとそっくりのぬいぐるみ達は、まるで子供たちの代わりに、おもいっきり遊び尽くしてあげたよといった素敵なメッセージを、写真という形で残してあげたように感じ取れました。

それから、うさぎさんの寝顔の側にある絵本は・・私の大好きな、あの涙腺崩壊絵本!!

そう、もう一つ共通点がありました。
絵本が大好きなところです。
昼のおはなし会同様に、夜バージョンにおいても、ぬいぐるみ達のわくわく感が、とても伝わってくるようで、それは思わず前に出ちゃうよねと、そんな細かい高揚感も、岡田さんの絵は瑞々しく伝えてくれて、本書にあった言葉を思い出しました。

『えほんの なかって まほうみたい』


「ぬいぐるみおとまり会」って、実際に図書館でやっているイベントだと知らず、びっくりしたのですが、ネットの画像検索で見てみると、夜の図書館で、本を手に取るぬいぐるみの様子等を写真に撮り、翌朝お迎えに来る子供たちにプレゼントしたりと、とても夢のある素敵な企画で、これは子供たちは嬉しいだろうなと感じましたし、それは、ぬいぐるみと絵本が一緒になることの相乗効果が加わることで、絵本の素晴らしさも教えてくれますし、このイベントを知らない方にとっては、この絵本が、まさに素敵な魔法のように感じられるのではと思い、小さいお子さんがいらっしゃる方は、機会がありましたら、一度体験してみるのもいいのではないでしょうか。


《受賞の喜びについて》
Twitterをやっていない為、この場をお借りして、受賞の喜びを申したいと思います(素敵な栞とステッカー、そして、手書きのハンドルネームまで、ありがとうございます^_^)。
本来は、その方がブクログをより広める意味合いもあると思うので、私自身心苦しいのですが、すみません。

この度は、ブクログ BEST USER AWARD 2022に認定いただき、ありがとうございます。
というか、びっくりしました。
「えっ、なんで私が?」と思ったのですが、『ブクログを使ってたくさん読書を楽しみました』を見て、なるほどと実感いたしました。

私としては、ブクログをやる前は、限られた情報でしか作品を知ることができなかったので、正直、今のような本棚になるなんて、私自身、おそらく想像できなかったと思いますし、これだけ多様なものの見方や価値観を知ることが出来るとは、思いもよりませんでした。

特に、去年は絵本や児童書の素晴らしさに気付いた年でもありまして、それは、子供たちだけのものではなく、大人にとっても、大切なことを教えてくれるものなんだと思うと同時に、子供たちの、あのどこまでも真っ直ぐで健気な純粋さの、かけがえのないキラメキを再び思い出すことが出来たことには、どれだけ救われたか分からず、私にもあんな頃があったのだと思うと、目頭に熱いものを感じてしまいます。

しかし、それを知ることができたのは、私自身の探求心のみにあらず、多くのフォローしている方々や、フォロワーさんの支えもあった事、そして、温かい繋がりを感じさせる、多くのコメントもあったからこそ、今の私の本棚があるのだと強く実感しており、感謝してもしきれないくらいです。
いつも、ありがとうございます。

そして、ブクログという、緩くも素晴らしく居心地の良い、素敵な場所をもうけて下さった、スタッフの方々全員にも、多大な御礼を申したいと思います。
ありがとうございます。

おそらく、今年もあまり流行に左右されなさそうな、独自の本棚になりそうですが、いつも通り、好きなものと興味のあるものを、これからも追いかけていきたいと思います。

この度は、本当にありがとうございました(^^)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2023年2月24日
読了日 : 2023年2月24日
本棚登録日 : 2023年2月24日

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コメント 10件

5552さんのコメント
2023/02/24

たださん、こんばんは。

ブクログ2022BEST USER AWARD受賞おめでとうございます!
私、栞を集めていて、受賞された方はステッカーと栞を貰えるって書いてあったので、どんなのだろう?と、思ってました。笑

たださんは、本を通じて、いつもハッとするような気づきを得られていて、本と親密な関係を築かれてるんだな、と、いつも思います。
本と読者との関係もたぶん、人と人との関係と同じようなものだと思いますから。
絵本のレビューをされているたださんの文章はとても穏やかで愛情に満ちていて、読んでいるこちらまで柔らかな気持ちになります。
これからも素敵な本棚を作っていってくださいね。

たださんのコメント
2023/02/24

コニーさん、こんばんは。
コメントありがとうございます(^^)

栞、集めてるのですね。本の好きを感じさせる、素敵な趣味だと思いました。
実は、今日届いたのですけど、栞を横向きにすると(左に90度)、透き通った地に対して、中央にブクログのアイコンと、英字で「BOOKLOG」の表記が続きます(それぞれ黒色)。外枠を同色のラインで囲っているのですが、向かって左が最も細くて、次に上、右と下は同じ太さで最も太く、裏面は文字と外枠がそれぞれ水色で塗られていて、こだわりを感じさせます。
そして、穴を通したリボンのようなものの色は(アホでごめんなさい^^;)、表と同色の黒色です。
想像出来ましたでしょうか?
分かりづらかったら、すみません。

ちなみに、ステッカーは、二つありまして、一つは、いつものブクログのアイコンそのままの色と四角のデザインで、もう一つは、丸形の銀色の地に、ブクログのアイコンの上に王冠が載っており、更にその上に「BESTUSER」の表記が、それぞれ黒字で描かれております。

嬉しいお言葉をありがとうございます。
もしかしたら、親密な関係を築くことが出来るのは、昔は読み終えたら、すぐに感想を書こうとしていたのですが、去年辺りから、読み終えて、すぐに書きたくなる時と、少し間を置いて、あれこれ考えてみてから書こうと思うものとに分かれまして、特に絵本については、登場人物(人だけではありませんがね)の気持ちに立って感情移入することが、以前より、しやすくなったと書くと、少し変な表現かもしれませんが、私も読んでいて自然と笑顔になったり、泣きそうになったりと、短い文章の中に詰め込まれた、結晶みたいなものを感じ取れる作品は、読んでいて、とても幸せな気持ちに満たされますし、それだけ、じっくり味わおうとするので、穏やかに感じられるのかもしれません。

コニーさんのお言葉、とても感慨深いものがありまして、人と人との関係と同じようなものというのは、本も、人が心を込めて書かれたものだから、そう思うのかもしれないと感じると、本を読むことは、人との親密な関係を築くことでもあって、もっと人を知ることが出来るのということなのかもしれませんね。

素敵な本棚といえば、コニーさんのそれが、まさにそうだと思いまして、その懐と愛の深さは、真に好きでないと書けないよなと、いつも感じておりますが、コニーさんに励ましていただき、嬉しいです。ありがとうございます(^^)

松子さんのコメント
2023/02/24

たださん、BEST USER AWARDおめでとうございます・:*+.\(( °ω° ))/.:+
受賞素晴らしいですね!嬉しいです!
栞とステッカーはどんなのかなぁ?と思っていたので、たださんの説明を読んで、おぉ!と感動しました。ありがとうございます。これからも、素敵で丁寧なレビュー楽しみにしています(^^)

たださんのコメント
2023/02/25

松子さん、コメントありがとうございます(^^)

私の説明で感動されたとのことで、嬉しくて、ほっとしております(^^;)
特に栞は、表裏で異なる色が、それぞれブクログカラーという、細やかなこだわりがいいなと思いました。

はい、ありがとうございます。
私も、松子さんのレビュー、楽しみにしてますよ(^^)

5552さんのコメント
2023/02/25

たださん、こんばんは

丁寧なお返事ありがとうございます。
どんな栞とステッカーかという、詳しい説明もしてくださり感謝します。
よく分かりました。
こういう催しは、ブクログの向こうに運営されている人がいる、ということを、改めて知る機会になって良いですね。

そうなんですね。
本の読み方とレビューの書き方が少し変わってきてたんですね。
いろんな方が(心理学者の河合隼雄さんとか)絵本は大人にこそ読まれるべきだ、と書かれていて、そうなんだ〜と、軽く受け流していたのですが、いざ読んでみると、感情が揺すぶられるものも多く、驚いたことがあります。
もしかしたら、感情を素直に出せていた幼い頃の自分を、少しずつ取り戻せるようになっているのかもしれませんね。

そうですよね。
本は人が真心と熱意を込めて作られたものですもんね。
「本に呼ばれた」とか「本が見ている」といった擬人化された表現をされる方が多いのも、それらが詰まったものだとして見ている方が多いせいじゃないだろうか、と思います。
そう思うと、読書家って人間大好きですよね 笑

思いつくまま気の向くままの本棚を、そう言っていただけて嬉しいです。
ただ、計画していた読書計画があさっての方向向いてどっか行ってしまう性格を何とかしたいです。目の前に面白そうな本があると、飛びついちゃうんですよね…。









たださんのコメント
2023/02/26

コニーさん、お返事ありがとうございます(^^)

そうですね。私も今回の受賞で、改めて見ていてくださっているのだなと、実感いたしました。嬉しいやら、恥ずかしいやらですが。

『幼い頃の自分を、少しずつ取り戻せるようになっているのかもしれませんね』、分かります。私も、子供の頃の私は、既に過ぎ去ったものとして、思い出の中に閉じ込められたままの存在のように感じていましたが、絵本をきっかけに、心の引き出しの鍵を開けてくれて、こんなことを感じていたよなといった出会いに、とても嬉しさを覚えますし、子供の頃の私と、今の私を同居させることに、とても興味があります。

読書家は人間好きだと思います。けれど私の場合は、好きなんだけど怖いので、それを少しでも払拭できるように、多様な本を読んでいるのかもしれません。

私も、すぐに飛びつきまくって、四方八方に展開してしまうので(そして読みたいものが、どんどん増える)、なんでしょう、本棚の初めの方に登録したままの本を、何とかしようとするのと、今どうしても読みたいものとの、ジレンマに悩むことが多くて・・まあ、予想外の面白さもあっていいのですが、仕事をしていると、時間も限られるので、焦りのようなものも感じますよね。こういうところ、皆さんはどう感じているのか、とても気になりますが、コニーさんは、きちんとした読書計画があるのですね。私からすれば、短歌の本については、それを感じられましたが、いかがでしょうか。でも、御自身で気にされるのならば、私も何か対策を考えたいのですが、性格は生まれついたものとも言いますしね。あるいは、最終的に結果として良かったなと思えればいいですけどね。でも分かります。本能的なものには勝てませんよね。

5552さんのコメント
2023/02/27

たださん、おはようございます

人間が好きなんだけど、怖い。仰ること、よく分かります。
怖い、でも、気になる、気になるから間接的に人間を学ぼうとする。
本というのは、人間を学ぶのに最適かもしれません。

ブクログに出入りしていると、読みたいもの増えますよね!
たださんも、読みたい本が思うように読めなくて、ジレンマに陥ることがあったりするんですね。
私などは、無職で実家にいるので、仕事をされている他のブク友さんより、時間があるはずなのに、あんまり読めてなくて、なぜだ?と、思っています。
そういえば今、私は短歌の入門書を集中的に読んでますね。
面白いので、どんどん、読んでしまいます。
いつも月の始めに、「今月は翻訳書月間にしよう」「歴史も勉強したいかな」とか考えるんですが、漫画を読んでしまったり、結局その月は読まなかったり。
計画性と意思のある本棚に憧れます。
ないものねだりですかね。




たださんのコメント
2023/02/27

コニーさん、こんばんは(^^)

そうなんです。私の場合、思うように読めないというより、もっと読める時間が欲しいのかなとも思ったのですが、コニーさんのお話を読んで、時間はあるけれども、同じ事ばかりするのもどうなんだろうと思いまして、私なら、もしかすると、たまにぼうっとしたくなったり、外に出たくなったり、家の中なら中で、たまに違うことをして、「ようし、また読むか」みたいになりそうな気もしてきまして、オンオフの切り替えが欲しいというか、特に小説は仮に時間があっても、何時間も続けて読むのは辛いかもしれません。まあ、読みたくてたまらない程の、待望の作品とかなら別ですがね。あと、大好きな作家さんは別腹です(笑)

だから、コニーさんの短歌の入門書についても、そんな感じを抱きまして、『面白いので、どんどん、読んでしまいます』といった、やりたいことをやっている事で、コニーさんの本能は、ある意味、満たされているのかもしれませんし、案外、受け取る側にとっては、割と計画性と意思があるように感じ取っていると思ってまして(私もそうです)、ああ、コニーさんは今月も、短歌も映画も音楽も漫画もノンフィクションも変わらず引っくるめて、多彩なジャンルを読んでるんだなとか。

でも、この先も同じかは分からないと思います。私の本棚も、いきなり児童書と絵本中心になったように、今のコニーさんの本棚と、一年後のコニーさんのそれが同じなんて、誰にも分からないのですから。そこに人間の奥深さがあると思えば、ちょっとワクワクしてきませんか?
もしかしたら、何も考えず、本能の赴くままに読んでいっていたら、いつの間にか、こうなってましたみたいなこともあるのかもしれませんし、翻訳書や歴史については、コニーさんの脳内で、もう少し後かななんて、無意識に指令を発しているのかもしれません。

私は、コニーさん程の明確なプランは立てませんが、それでもこういう順番で読もうかなと、ざっくりと決めた矢先に、大抵、図書館でより魅力的なものを見つけて予定が変わったりと、そんなことばかりですが、最近は、それでも結果として、読みたいものばかり読めているから、もし最後のゴールのようなものがあるとすれば、順番が違うだけで近付いているのかなとは思うので、別にいいかなと半分割り切ってます。人の命は限られてますから、後悔さえしなければいいのかなって。

5552さんのコメント
2023/02/28

たださん、何度もすみません。

オンオフの切り替え!
なるほど、私の生活に足りなかったのはそれですね。
そういえば、以前読んだ本にも大人でも1日の時間割を作れ、というようなことが書いてありました。
仕事をしてらっしゃる皆さんも、きっと1日のメリハリがついてらっしゃるのですね。
とりあえず、暖かくなってきましたし、1日のうち10分でも散歩に出ようかと思います。
アドバイスありがとうございます!

無意識の脳の指令ですか…。
読みたい気持ちがあるのに読めないと、自分のダメさの証に思えてしまうのですが、まあ、無理して読まなくてもいいような気がしてきました。
本能に従って本を選んでゆくのも悪くないですよね。
相談みたいになってすみません。
丁寧にお返事をしてくださったことに感謝します。

たださんのコメント
2023/02/28

コニーさん、いえいえ、大丈夫ですよ。

寧ろ、毎回、私が長文だから、それが何だか申し訳なくて(気が付くと長くなってるんですよ)。

そういえば、今日は暖かったですね。何でも明日は、もっと暖かくなるそうで、春ももうすぐですね。

ちなみに、私はメリハリをもっと付けたいと思ってまして、ちょっと仕事で疲れて油断すると、すぐ同じパターンに陥るので、そこにもうちょっと、ゆとりを持てればなあと。私も偉そうな事、言えないのですよ。

ですから、アドバイスと言われると、何だか申し訳ない気持ちにもなるのですが、コニーさんの前向きな気持ちを文面から感じられたので、書いて良かったなと思いました。

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