成り行きで、森の近くの田舎で暮らすことを決めた、「早川さん」と、都会で暮らす、彼女の友人、「マユミちゃん」と「せっちゃん」、三十代女性三人の人生模様を、飾らなく描いた四コマ風漫画。
ちなみに、飾らないというのは、田舎暮らしといっても、よくある、スローライフや自給自足とは、ちょっと違う、あくまで、早川さんのやりたいことをやるための人生ということで、飾らないからこそ、自然や人に対して、真摯に向き合っている一面も感じられるし、それは、マユミちゃんとせっちゃんの日常の辛さもそうで、特に、せっちゃんの、「ねえ、早川。あたしには、あたしに必要な全部がそなわっているのかな」には、私も実感したことがあるだけに、身に沁みました。
突然の早川さんの引っ越しに驚いた、他の二人は気になって、週末、早川さんの家に遊びに行き、森に連れて行ってもらうことで、少しずつ、自然の素晴らしさや、その魅力に気付いていく。
マユミちゃんは、出版社で14年間、経理ひとすじで、コツコツと弱音も吐かずに頑張っているせいか、周りの失敗や勤務態度を、必要以上に気にしてしまい、それでイライラが止まらない(その気持ち、よく分かる!)。
かたや、せっちゃんは旅行代理店で働き、他の仕事より、人と関わる機会が多いせいか(世の中って、本当いろんな人がいるのよ)、接客業の仕事をするようになって、少し人間が嫌いになったことを実感している(これも、よく分かる!)。
そんな、彼女たちの辛さや悲しみに、ふと寄り添ってくれるのが、森でふと口にした、早川さんの言葉たち(名言というには、数があまりに多すぎて、う~んというのもあるが、そこに人間らしさが)。
それは、自然にふれることで、人間の生き方にも、様々な可能性があることや、柔軟性を与えてくれるようにも感じられる。まるで、ブナの木のように。
『「人間」なんてひとりもいないのかも。「人間」って見るから命が軽くなってしまうんだ』
(「鳥」は「鳥」ではなく、それぞれに、ちゃんとした名前があることから)
『弱い光でも生きていける強さがあるんだね』
『35歳になってもまだまだ初体験あるね~』
「早川~~~っ たとえ森の中でもデカイ声で歳言うな~」
おっと、最後はマユミちゃんに突っ込まれたやつだった(そりゃそうだ)。これには私も大爆笑。
ただ、マユミちゃんにも、名言があって、
『子供がいなくても友は必要だね』
『知らない世界がいっぱいあるんだってことをわかるために大人になった気がするよ』
こう考えると、何歳になっても、人生楽しめそうでいいですよね(私は読んでいて、無性にカヤックに乗りたくなりました)。
また、自然にふれるだけでは無く、女性が共感できるやり取りが多かったのも印象的でした(だからこそ、より飾らなさが際立つ)。
「今のデジャブかと思ったけど、確実にわたしたち、3年間、同じ会話になってるよ」(クリスマスの予定が仕事)
「合コンって、世の中の誰がやっているんですか?」
「知るかい」
ちなみに、上記の解決策(?)にも、早川さんの言葉がきっかけとなっているのが面白く、また、マユミちゃんとせっちゃんが、上記の会話をしていたカフェでは、あの人が友情出演(!?)しており、こういう嬉しいサプライズが、また心憎いですよね(正直、びっくりしました)。
まあ、自然に興味の無いかたでも、読んでいる間は、ありふれた日常を離れられて、ちょっとした自由を感じられると思いますし、花や木や鳥の知識も得られるので、読み終えた後、森に行きたくなること、うけあいです。
とりあえず、私は、カヤックに乗りたくて、たまらなくなりました(将来の夢)。
なおなおさん、本書を教えて下さり、ありがとうございます(^_^)
- 感想投稿日 : 2022年10月10日
- 読了日 : 2022年10月10日
- 本棚登録日 : 2022年10月10日
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