ねずみくんのチョッキ (ねずみくんの絵本 1)

  • ポプラ社 (1974年8月1日発売)
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 1974年発表の記念すべき、『ねずみくんの絵本』一作目は、今年発表された最新作『ねみちゃんのチョッキ』で、本書の絵が使われていたことから興味を持ち、読んでみました。

 まず驚いたのは、右開きで縦書きの文章と、まるで国語の教科書みたいな構成に、私が読み始めた、シリーズ後半が左開きの横書きだったため、この変わり目がどこなのか気になったことに加え、縦書きの文章も、これはこれで何度も読み返す内に気にならなくなり、このシリーズくらいのシンプルで短い文章ならば、却って、読み聞かせするのに、上から下へと良いリズム感が湧いてくるようで、楽しくなってくる。

 それから、肝心の『ねみちゃんのチョッキ』で使われた、本書の絵についてだが、そもそも最新作に於いても、あまり浮いている感は無かったし、本書の場合、当然物語が異なるので、「なかえよしを(中江嘉男)」さんの、その絵の使い方の上手さが、まずはあるのだと感じたことに加え、「上野紀子」さんの、喜怒哀楽のはっきりした絵の見せ方には、改めて、子ども心のツボを良く心得ていることを実感させる、動物たちの、オーバーに誇張した極上の笑顔がとても印象に残り、思わずクスッとさせてくれる、そんなアットホームなムードは、シリーズを通して変わっていないと思う。

 また、物語も、同じことを繰り返していく妙と、次第に大きくなっていく動物たちとが、比例していく面白さは、既に最初から確立されており、ここでも共通するのは、やはり子どもにとって、理屈抜きで笑ってしまうような微笑ましい雰囲気であり、最後に上手いことオチに持っていく展開も、ここでは、まだねみちゃんが登場しないので、シンプルにねずみくんの悲劇で終わるのが、却って意外に思われて可愛そうかなと感じたが、それでも奥付の絵の、その悲劇と思われたことに対する、逆転の発想を描いている点に、中江夫妻お二人の優しくて微笑ましい人柄を感じさせられたのが、本書を読んで、最も印象深いことであった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2023年10月19日
読了日 : 2023年10月19日
本棚登録日 : 2023年10月19日

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