ひとりぼっちのうさぎが、友達を見つけるために、同じ仲間でいっぱいだという、「イースター」を目指して、旅立つ物語。
「イースター(キリストの復活祭)」における、うさぎと卵は、繁盛力旺盛なことから、その象徴とされておりますが、元々は、冬の間死んだように見えた大地から、新しい命がよみがえる、春を祝う日なのだそうです。
そして、うさぎの旅は思いの外、長いものとなり、四季折々の自然を、読み手は眺めることができるのですが、その絵は、ヘレン・クレイグの淡い色彩ながら、葉っぱの一枚一枚まで丁寧に描かれた、繊細な優しさに包まれた美しさであることに加え、場面毎の展開も効果的で、特に、夕立の大雨で霞んで見えるシャクナゲの後に現れた、雨上がり後のしずくを纏ったシャクナゲの美しさは、その対照性もあって、いちだんと映えて見えました。
また、うさぎの旅において、密かについて来ている、ねずみがいるのですが、これがまた、色々と考えられそうで興味深く、ねずみにとっては、独りではないことを、実感できる嬉しさもあるのかもしれないし、単純にうさぎのことが心配だったのかもしれませんが、私は、ひとりぼっちだと思っていても、実は見守ってくれている人がいるんだよといった、希望の存在に感じられました。
そして、長い旅の後に、うさぎが実感したその思いには、春という季節の素晴らしさを教えてくれたようにも感じられ、それは、イースターの、新しい命がよみがえる季節のお祝いとも、見事に合致しており、春が来るのが待ち遠しくなる素敵な絵本だなと思って・・ちょっと読む時期を間違えましたね(^^;)
- 感想投稿日 : 2022年11月29日
- 読了日 : 2022年11月29日
- 本棚登録日 : 2022年11月29日
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