ぐるんぱのようちえん

著者 :
  • 福音館書店 (1966年12月15日発売)
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本棚登録 : 5846
感想 : 428
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1965年作の本書は、読み聞かせに大変子ども受けが良いと、数々の絵本雑誌で評されることも多い古典的名作で、今読んでも全く色褪せない、普遍性と瑞々しさを持っているのが、私には印象的でした。

特に凄いと思ったのは、「堀内誠一」さんの、一見、子どもが描いたように感じられる、その絶妙さ加減の素晴らしい絵であり、それは大人が見ると、決して上手くはないと感じられるのかもしれませんが、私には、敢えて、そうした子どもの気持ちに立ち帰ったような親しみやすさを感じる絵の方が、子どもだけが持つ、素敵な想像の世界へ入り込みやすいといった、子どもの事を真剣に考えた結果だと思いました。

また、物語は、ひとりぼっちで寂しい思いをしていた、象の「ぐるんぱ」が、いろんな仕事に挑戦するものの、中々上手くいかないといった内容ですが、その過程において、お約束の「もう けっこう」や、「しょんぼり」の回数に合わせて、象の「ぐるんぱ」の持つものも増えていくような、そんな繰り返しの妙は、子どもにきっとハマる面白さなのではと感じましたし、古臭さを感じさせない、固定観念を覆すような斬新なものの見方や、見返しのぐるんぱが書いた字の遊び心も印象的でしたが、最後の、孤独な気持ちを癒やしてくれる、優しい気持ちの詰まった、夢のある結末には、子どもたちもきっと目が釘付けになること間違いなしで、これこそ絵本の醍醐味だと思わせるものがありました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2023年4月29日
読了日 : 2023年4月29日
本棚登録日 : 2023年4月29日

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