「脱北航路」が面白かったので、月村氏の作品を続けて読んでみました。
こちらもとてもレベルの高い社会派エンターテイメント作品でした。
舞台はアフリカ大陸。
内戦の続く地で墜落ヘリの捜索救助活動をしていた自衛隊員のところへ現地民族首長の娘が助けを求めてやってきたことで凄絶な闘いに巻き込まれてしまうー。
最初から最後までずっと痛い感覚に襲われ続け、心がヒリヒリし通しでした。
登場人物達が身体的に受けた痛みはもちろん、彼らが受けた心理的ダメージ、ショック、諦念ー。
そういったものが活字を追っているだけのはずの読み手にも我が身のように感じさせる文章力は他の追随を許さないと言っても過言ではなく、映像化してほしいと強く思う一方で、この文字による表現に果たして映像が追い付けるのだろうかとも思いました。
それぞれの思いや過去を持つ自衛隊員たち。
彼らが命を賭した戦闘を前に見せた勇敢さ、人間臭さにはフィクションであると分かっていても尊敬の念を抱かずにいられません。
激しい戦闘シーンが続き、何度も現れる追っ手達の存在に私も身体が強ばってしまい、読了後はヘトヘトになりましたが、こんなにも作品の世界観に引き込まれたのも久しぶりで、手放しで「おもしろかった!」と思えました。
あくまでもフィクションだから、ですが。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年11月18日
- 読了日 : 2022年11月18日
- 本棚登録日 : 2022年11月18日
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