「中国の終わり」のはじまり ~習近平政権、経済崩壊、反日の行方~

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  • 徳間書店 (2012年11月29日発売)
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1000円ということもあり、気軽に買った。対談形式だが読みやすい。
「習近平政権は通常の任期10年持たずに崩壊する」というのが趣旨。中国は経済の停滞が始まっており、浙江省では実に4000社ある製造業の60%が操業停止状態。
中国は市場と見られがちだが、実体は輸出国家。市場になれないのは中間層がないことと、富裕層が財産を海外にシフトし、また主に輸入品しか買わないから。つまり内需拡大のエンジンがない。(なお年間300万人が外国に流出)
習近平は八方美人で、これまでの共産党幹部の蓄財メソッドを一掃する力はない。
通商国家(輸出)として日本やアメリカと仲良くして商売を拡大しなくてはならないが、親日となると内紛の火種となる。結局どっち付かずの政治にならざるを得ない。
結局、難局に直面をしたら習近平は反日を使って民衆の気持ちを統一するしか手がなくなる。それは矛盾を生み内部分裂の可能性がある。
良いシナリオは旧ソビエトのように民族ごとに分裂してそれぞれが民主化に向かう事。

中国には宗教がない。あえて言えば儒教だが、これは宗教というより倫理。その中国人が「世界の中心」と信じている。中国人が謝らないのは有名だが、人対人でも国対国でも同じ。悪いのは相手だ、と信じている。これでは安定した国際関係が築けない。

腐敗政治を始めたのは江沢民。幹部とその子弟をもうけさせ、自分の人気を高めた。その江沢民が結果的に八方美人の習近平を選んだ形。結局乱世に一番ふさわしくない妥協なのだ。

尖閣諸島問題もおかしい。尖閣諸島は元々は台湾が中国より近く虜度を主張していた。中国の論理は「台湾は中国のものだ、だから尖閣諸島も中国のもの」という無茶苦茶な理由。
ちなみに各国の分析では海での戦争となった場合、中国海軍は日本の海上自衛隊に勝てない、というのがもっぱらの評価。

まぁともかく中国生まれのの石氏と台湾生まれの黄氏が手厳しい論理展開をしている。日本への対応を見ても、中国にとって何も良い事を生み出せない。もう中華思想を捨てて、世界と協調する戦略を取らないと未来はないと感じた。
信頼できるのはお金だけ。お金で家族を守らないとならない。(国は守ってくれないという意識)

いやはや怖い話です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2013年1月27日
読了日 : 2013年1月27日
本棚登録日 : 2013年1月24日

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