俺たちフィギュアスケーター スペシャル・エディション [DVD]

監督 : ウィル・スペック  ジョシュ・ゴードン 
出演 : ウィル・フェレル  ジョン・ヘダー  ウィル・アーネット  エイミー・ポーラー  ジェナ・フィッシャー 
  • 角川エンタテインメント
3.66
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本棚登録 : 290
感想 : 75
5

たった93分に、よくこれだけ詰め込めるな~。
ホント、よくまとまってるよ!
どのシーンも印象に残る、つまり捨て場面は一つも無しのムダの無さ。
それでいて、フィギュアファンもうなる出演の数々……!
最高!

<以下、ねたばれあらすじ>
まず、冒頭がスピーディー。
タイトルロール中には少年自体のジミーが孤児院で滑っているところを養父に見初められる?ところ。
タイトルの後は、いきなり試合風景。分かりやすい。
しかも、テレビ中継風の作りになっていて、ジミーとチャズの「これまで」を再現VTRで紹介するという、スゴ技をやってのけてます。
ほんっと分かりやすいのよ、これが。反則に近い荒技ですわ。
ちなみに解説の人がESPN?でいつも解説やってる男の人で、フィギュアファンはここでうなる。
二人のプログラムはすごく対照的でキャラが立ってて分かりやすい。
だいたいチャズの下ネタは、ここまで言うのは最近はやらないでしょってくらい下品な言葉のオンパレードだけれど、だからこそジミーの天使のようなキャラが浮き出るわけで、それもありか。あとしつこく繰り返される「USA」っぽいし。そのポップさが。

チャンピオンがいきなり転落して、二人の落ちぶれた様子は共感をそそります。さらにジミーのキモいストーカーが、二人の運命を変えるという定番もヨシ!
二人の再会場面がまたおかしいし、それを見たコーチが「この二人でペアいける!」と確信するのが、すっっっっっっっごくおかしい。ケンカしながらリフトしたり、スロージャンプしたりしてるんだもん。ああ、おかしい。くだらない理由だけれど、しっかりと理由と動機が描かれていて、この場面はホント秀逸だと思います。

そして、二人のペア合宿が始まります。同部屋で争ったりするという定番をふまえつつ、練習を始めても二人はケンカしてばかり。だけれど、その負けず嫌いがお互いの技術を高め合ったりもしてナイスな設定。振り付けの先生もイカシてます。

中盤で二人の試合をいきなり見せます。うん、最後の最後に試合を持ってこられても冗長なだけなのよね、この構成もまたヨシ!
スロージャンプに失敗したジミーが悔し紛れに「試合で初めてジャンプに失敗した」という一言にも脱帽しました。その一言で、ジミーの天才っぷりが表現されてますよネ!
ライバルペア(これでもか!というくらい悪い敵で素晴らしい)との攻防も描いてて面白いし、ここから恋愛要素も含まれてきます。
スポーツの楽しさも、友情も、恋愛も、夢も希望もたった93分で描く、というおそろしく良くまとまった作品なわけです。

試合後、二人は幻の大技「アイアン・ロータス」の習得に励みます。鬼特訓という要素は、スポーツものには欠かせない要素、これもきっちり入れてきます。技自体はホントありえない技だけど、コメディならこれくらいやらないとね!失敗すれば相手(ジミー)の首が飛ぶという分かりやすい設定もよし。フィギュアスケートのペア競技が常に相手のブレードが間近にあって、危険なスポーツであることも表現されるし。これもフィギュアを描くなら定番の、是非入れたい要素。

試合前、ジミーと女の子(ケティだっけ?)はデートでかき氷を食べ、ぎこちないキスをします。それがまた、うぶっぽくてかわゆい。思わず応援したくなるような恋愛です。
そしてその恋愛は、ライバルに利用されてしまうという設定も面白い。
女の子がチャズを誘惑し、その場面をジミーが見てしまうという場面はハラハラするし、チャズが誤解を解こうとジミーにしつこいくらい電話をする場面は印象的。いつのまにか友情が育まれていたんだね。

そして試合当日、オフアイスでもライバルとの攻防が描かれます。ここはもう、ありえないくらい派手!アクション映画かと見まごうほどです!エンタメならここまでやらないとね!見てるほうも楽しいわ!
ライバルのプログラム「マリリンモンローとケネディ」には笑ったわー。モンローが睡眠薬を飲もうとするところ、おかしすぎてずっと覚えてると思うw

チャズのリンクへの登場の仕方も素晴らしい!
あと何分、という時間制限はアクション映画のクライマックスでよく使われる手法。緊迫感があって、とってもハラハラさせられます。
そして、客席から登場するチャズはカッコいい!かつてのキャンデロロやヤグディン?を思い起こさせます。
そして、まさかのサーシャ・コーエンのカメオ出場。しかもいつも取り澄ましたサーシャがぶっ飛んでて、「きゃ~~~チャズ~~ アイラビュ~」なんて叫んでるんだから、フィギュアファンはぶったまげますよ。

二人の試合プログラムは言うまでもなく面白い。
ライバルの最終攻撃によって、片足を負傷したチャズをかばうジミーに心打たれます。友情がよく描かれています。そして逆のポジションでの大技では本当にハラハラさせられます!ひげのシーンがすごく良かった。まさに「間一髪」的な感じでw

で、ラスト、プログラムが終わった瞬間の旅立ちは何ですか(笑)
まあコメディならそれもあり!
冒頭の試合でのジミーの白鳥、中盤の試合でのチャズの花火と伏線が張られていた分、突拍子のない演出でもないし。ほんっと、細部まで計算しつくされた細かい構成には脱帽です。
試合の高揚感と、余韻をただよわせつつ、さらに盛り上げて終わるという、最高のラスト!
ほんっと素晴らしい!

褒めてばっかですが、あえて言うなら、馬のブラシ?をジミーがつかってケンカするorゲンかつぎになる場面が欲しかったし、チャズの入れ墨を見て「僕も入れたい」と言うなら最後に入れ墨を見せるのはジミーのほうだろうとちょっと思いましたが、入れ墨を入れたジミーはあんまり見たくない気もするので、まあいっか。
とりあえず、久々にこんな面白い(構成面で)作品を見られて、感謝です!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2010年5月22日
読了日 : -
本棚登録日 : 2010年5月22日

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