ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語 (アスキー新書 125)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス (2009年10月9日発売)
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感想 : 58

『ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語』 佐々木俊尚
(レビュアー:デザイナー 伊波)

主題に「ニコニコ動画」とありますが、副題の「ドワンゴ物語」の方が内容としては近いです。現在ニコニコ動画を運営しているドワンゴという会社の成長を追っています。
新しいゲームが発売されると会社を休んでしまう程のゲーム好きや、天才プログラマーなど、ドワンゴに関わっている多種多様な人々、また時代背景も描かれていて、本当にノンフィクションなのか疑う程にドラマチックな物語です。

私がパソコンやインターネットに触れ始めたのは「2000年問題」などが話題になる少し前で、技術的な面もあまり詳しくありません。
なので、前半部分のパソコン通信時代の話はよく分からないし、理解できない専門用語も多くありましたが、それでも当時その技術に触れていた人々が感じていたであろう臨場感が伝わってきました。

ニコニコ動画でドワンゴという社名を知り、着メロをやっている会社だということはそれとなく知っていましたが、読み進めると「あれがドワンゴだったのか!」と驚き、それができるまでの過程にまた驚きました。

ニコニコ動画については後半の方にしか出てきませんし、「物語」としては切れ味の悪い終わり方をする本なのかもしれません。
しかし、ニコニコ動画、ドワンゴ、それを取り巻く環境、どれもまだ動き続けているノンフィクションの話だということを最後にようやく思い出す程に、創作された小説のようなドキュメンタリーになっています。

私はこの本を読むと、新しい技術や文化に触れたときのわくわくした感覚や、「こういうおもしろいものを作りたい」とクリエイターを目指し始めた頃を思い出します。
モチベーションが下がってしまったとき、また読み返したい1冊です。

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感想投稿日 : 2012年9月4日
本棚登録日 : 2012年8月28日

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