人事部は見ている。

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2011年6月1日発売)
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著者は、大手企業の会社員でありながら、大学での非常勤講師も務める方である。

本書では、その経験やビジネスマンへのインタビューをベースにして、謎のヴェイルに包まれた人事部を通して、会社(「企業」ではない)とは何か、人事部ではどんな仕事がされているのか、が語られている。

「実は人事部はこんなことまでチェックしている!!!」というようなショッキングな話はなく、ごくごく真っ当な普通の話が展開されている。

コンテンツ的にはもっと面白くなってもよいと思うのだが、淡々とした文章と煽り系のタイトルのせいもあり、期待外れの印象を受けてしまった。

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(目次)
第一章 人事部は何をやっているのか
・いつだって評価は割り切れない
・人事部は、フリーハンドを持っていない
・「やはり企業は、経営方針を明確にしないといけませんね」
・やるべきことは、異動と評価と・・・・・・
・人事部員だって嫌われたくはない
・社員の誰も知らない就業規則
・交渉をまとめるしたたか者の仕事
・制度を企画する理論家は何を考えているか
・給料を支払うための縁の下の力持ち業務
・採用担当者に共通する性格
・エリートコースと目されることも多い
・経営方針と人事と組織との連動

第二章 考課と異動の不満の矛先
・公平な人事異動をしても7割は不満を持つ
・人は自分のことを3割高く評価している
・いきなり評価基準が変わることもある
・人事部は経営陣の言いなりで人を見る目がない?
・圧倒的に大変だったリストラに関する体験
・採用を左右するのは「偶然」や「相性」
・社内で相性の問題を解決する奇策
・考課でミスをしたら、その後の機会に修正する
・人事部員は出世するから嫌われる?

第三章 社員の「情報」を集めるルール
・なぜ人事部のオフィスに入ると緊張するのか
・人事部の機能は担当する社員数に規定される
・1人の人事部員が把握できる人数
・伝聞情報で人を評価するジレンマ
・人事部員にとってどのような能力が重要か
・規模に左右される人事担当者の仕事
・社員の「情報」を集めるルール
・社員と直接つながることがいいのか

第四章 人事部員が見た出世の構造
・社内経歴を見るだけで会社の評価が分かる
・時代によって人事評価の尺度も揺れている
・目標管理だけでは真の評価はできない
・評価されるポイントは職場内での評判?
・チーム仕事と一匹狼の功罪
・力量のある社員を優遇すればよいわけではない
・日本の中間管理職は会社の外部者?
・昇格させる人は転勤させ、配置転換もする
・どこにでも行く、どんな仕事でもこなす社員
・女性の働き方は変化してきた
・役員を選ぶ基準は忠誠心
・社長は一番仕事ができるサラリーマン?
・支店長ポストを100万円で買う
・結果的にエラくなる人と長く一緒にやれる能力
・まずはエラくなる人と「出会い、知りあう」こと
・大手企業の内部管理機構で活躍できる能力
・課長クラス以下までは実力勝負
・部長クラスの出世を人事部から見れば

第五章 正義の味方はしっぺ返しを受ける
・人事は裁量権が残されている仕事だ
・ラインマネジャーのバックアップを
・現場のマネジャーと人事部はどんな「やりとり」をしているか
・異動構想の提出と人事評価の原案作成
・個別案件こそが人事部の存在意義
・正義の味方になるとしっぺ返しを受ける
・できる部下を抱え込み、できない部下を放出したがるということ
・交渉する労働組合もいろいろ
・「楠木さんは、30分しか彼を見ていない」
・がんばれ人事部員

第六章 曲がり角に立つ人事部
・映画にも表れる日本の雇用の曲がり角
・「雇用リスク」をどのように配分するか
・正社員偏重のままではやっていけない
・組織や上司への「表面的」な忠誠心
・もっと社外に雇用機会を求める
・一律管理も変容が迫られる
・転勤・配置転換にも変化が
・雇用保障と強力な人事権はセットの関係にある
・整理解雇は労働者間の利害調整
・パッケージをほどく
・働き方の多様化に舵をきる
・最近は、なぜ正月でもこんなに忙しいのか
・今のままの人事部でいいのか

第七章 社員の人生は社員が決める
・正社員は多すぎる?
・新卒採用中心では、専門家集団はつくれない
・個別交渉が多くなる
・支援社員が成否を分ける
・「出世」を重視したマネジメントとはたらく意味
・ご褒美から自己選抜のシステムへ
・選択は相性を乗り越える?
・ライフサイクルの視点

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年10月12日
読了日 : 2011年10月13日
本棚登録日 : 2018年10月12日

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