奇術師一家のプリンスが志願してエジプトの砂漠に赴き、大学教授や偏屈な画家、腕利きの大工、パンチ誌に寄稿していた漫画家、若くハンサムで向こう見ずな二等兵らと「チーム」をつくり、エルヴィン・ロンメルを打ち負かす——とくると何から何までちょっとよくできすぎで、「ほんまかいな」と言いたくなる。
ジャスパー・マスケリンは(寡聞にして知らなかったが)実在の人物であるようだが、訳者あとがきにあるように、「小説仕立て」と考えておくのが妥当なのかもしれない。同じ一文にあるように、映画化されたら抜群に映えそうではあるが、さてどうなったのか。
ただ、そんなことはどうでもいいとも言える。紛れもない一大冒険活劇であり、「ストーリー」だ。100パーセントのフィクションであっても、人はしばしば魅了されるのだ。ならば100パーセントのノンフィクションでないからといって、切り捨てるには当たらない。
ジャスパー・マスケリンと彼の「マジック・ギャング」は、何もないところから二個師団を作り出し、川のない場所にドイツの戦艦を浮かべ、アレクサンドリア港を動かし、スエズ運河を消してみせた。
これらはみな、誇張ではない。掛け値なしの「真実」である。
2017/7/13〜7/14読了
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2017年7月15日
- 読了日 : 2017年7月14日
- 本棚登録日 : 2017年7月15日
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