表紙に書いてある通り「女性解放のバイブル」と言える本。本文中ではやはり古いと感じるところもあるが、基本的には今も繰り返して読まれるべき内容である。成人して働く前までに全員が読んでいて、この価値観を前提として暮らせたらどんなにいいだろう。
150年前に発表され、100年前に日本語訳されているのに、日本の社会構造はここに書いてあることを何も分かっていない、存在を知らないかのようだ。あまつさえ、2019年にリクエストで復刊するまでしばらく絶版だったのである(リクエストなので、岩波でも重要な書籍とは認識していなかったのかと悲しくなる)。これだけでも日本での女性の人権の肩身の狭さが分かるというものだ。フィンランドあたりなら、このような歴史を踏まえて社会は進歩してきたのだなと思うこともできるが…。
解説に、これから女性は頑張ってもらいたいなどと書かれているんだが、いや、努力が必要なのは男だろという怒りを禁じ得ない。女はもうずっと努力してきた。女を抑圧することで男がどれだけ楽をして馬鹿でいられるか、政治を見ても家庭を見てもあきらかである。
あと、そんなにテイラー夫人から影響を受けたのであれば、共著にすべきだろうと思った。世の中には男の名前が多すぎる。実際に女に負っていることの多さはもっと認識されるべきじゃないか。
ともあれ、200ページに満たない分量で、予備知識がなくても中心的な主張は十分に分かるので、広く読まれて欲しい。
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- 感想投稿日 : 2020年5月21日
- 読了日 : 2020年5月21日
- 本棚登録日 : 2020年5月21日
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