宗教常識の嘘

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  • 朝日新聞社 (2005年10月13日発売)
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曖昧模糊とした宗教は、真実も嘘もかなりごっちゃになっている印象ですが、混沌とした宗教常識の区分けがされることが理解の取っ掛かりになるのではと思い、読んでみました。
まずはキリスト教。キリスト教の三大聖地はエルサレム、ローマ、コンポステラ。
最後の場所はあまり馴染みがありませんが、巡礼の道として知られている聖地です。

ただ、ルルドへの巡礼者数はそうした古くからの聖地をはるかにしのいでいるそうです。
それは年間500万人と、イスラム教徒のメッカの巡礼者の数に匹敵するほどだとのこと。
確かに以前ルルドを訪れた時、小さな田舎町を埋めつくすような参拝者の数に驚いたものです。
やはりルルドで起こった奇跡を求めて、人は神に祈るのでしょう。

次にイスラム教。
モスクには、聖なるものはひとつも存在しないということに驚きました。
イスラム教においては、聖職者も聖なるものも存在しないのだそうです。
モスクも聖なる場所ではなく、メッカも聖地ではないのだとか。
唯一絶対神アッラー以外のものは認めないということでしょうか。
ちょっと理解が難しいです。

そして日本の宗教。
日本の戒名制度は、他の仏教国には見られないものだというのは知っていましたが、どの戒名でも、仏教の教えと関わる字は使われていないという指摘は意外でした。

「戒名が人生の集大成であるなら、僧侶ではなく故人の人生についてよく知る人間が戒名を付けるべきだ」と述べる著者。
以前は檀家制度で寺と家が密接でしたが、現在ではかなり疎遠になっているため、たしかに檀家でも住職と縁遠くなっています。
戒名制度に懐疑的な書き方をしていますが、確かに納得の行くものでした。

ほかに「内村鑑三は洗脳されてキリスト教徒になった」という記述があり「その類いは主観によって判断がわかれるのではないか?」と思いました。
タイトルのように「嘘」とまでははっきり言えない、「知らなかった認識」というような内容ですが、おもしろく読めました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宗教全般
感想投稿日 : 2014年1月21日
読了日 : 2014年1月21日
本棚登録日 : 2014年1月21日

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