自衛官の恋愛を描いた短編集。
標題作の"クジラの彼"はよかった。
自衛官(潜水艦乗りだけ?)と付き合うと、いつ出航し、いつ帰ってくるかすら教えてもらえない機密事項らしい。何ヵ月も会えなくても、メールすら入らないエリアにいたらメールすら数ヵ月ぶりということもあるらしい。
やきもきはしても他の人に揺らぐことなく、相手を信じて待てる人でなければ、自衛官とは付き合えないんだなと、改めて自衛官やその家族をリスペクトしたくなった。
また、軍用機のトイレはコンパートメントになっていない(カーテンで仕切られているだけ)とか、基地の中でトイレの通路を人が普通の通路として通り抜ける(これは物語のなかだけの設定かも?)とか、自衛隊の独特な世界を知って参考にはなったが、同時に、そういう常識的には受け入れがたいことをおかしいと思わない(慣れにより思わなくなってしまう)感覚が、内部でセクハラ、パワハラを横行させるような自衛隊の体質を生むことに繋がっているのでは、と思わずにはいられない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
短編集
- 感想投稿日 : 2024年3月12日
- 読了日 : 2024年3月12日
- 本棚登録日 : 2021年10月31日
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