村上たかしさんのコミック"星守る犬"を、原田マハさんが小説化した、犬と人間の絆の物語。犬好きにはたまらない。
野原で死後1年の白骨化した男の死体とそれに寄り添う死後3ヶ月の犬の死体。ハッピーと名付けられた犬の目線で、その経緯が描かれている。
常に穏やかで優しいおとうさんだが、妻と娘には、失業し、持病のあるおとうさんとは一緒にいられないと出ていかれ、旅の途中で助けた身寄りのない子供に財布を盗まれるなど、人との関係においては理不尽な目にあってしまう。一方で、ハッピーとは深い信頼と愛情での結び付きが感じられ、途中から涙が止まらなかった。
さらに、この死体を荼毘に伏す役を担うことになる、福祉事務所の職員、奥津もまた、子供の頃に犬を飼っていながら、ちゃんと世話をしてあげられなかった後悔を胸に抱えていた。
子供は冷たい。最初は夢中で遊んでいても、成長とともに他のことに気を取られ、ペットの世話が蔑ろになることは多いと思うが、自分はどうだったか。もっと一緒に遊べばよかった、優しくすればよかったということがなかったか、などと考えて少し苦しくなった。
原作のコミックも読んでみたい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2023年3月25日
- 読了日 : 2023年3月25日
- 本棚登録日 : 2023年3月25日
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