物語チェコの歴史: 森と高原と古城の国 (中公新書 1838)

著者 :
  • 中央公論新社 (2006年3月1日発売)
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感想 : 21
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各「時代」から人物をピックアップし、その人生と歴史的背景を描くことで歴史を辿るというのは、ある国の歴史を謳った書籍としては珍しい試みではないか?確かにある程度チェコに関するバックグランドがないと分かりづらい所はあるかもしれないが、少なくとも人を通して活き活きと国の歴史が語られているし、チェコや周辺の大国との関係が有機的に描き出されている。

第9章『博覧会に賭けた人たち』は、特定の一人の人物ではなく、19世紀、近代化しようとする国家の中でどのように博覧会が開催されるかを描いている。ここではドイツ系チェコ人とチェコ人との間の綱引きがテーマとなっており、この後のチェコの独立、ナチス・ドイツ介入の伏線、チェコスロバキアの誕生の伏線となっている。世界史的には地味な史実だが、味わい深い1章。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2013年11月12日
読了日 : 2013年11月7日
本棚登録日 : 2013年6月30日

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