作品紹介から、救いのある恋愛小説をイメージしていたのですが、「受動的に生きる主人公の”入江冬子”と、人との関わりが描かれた長編小説」という印象を受けました。
思いを寄せる”三束さん”との関係よりも、友人である”聖”とのやり取りが興味深かった。
自分の気持ちが分からず、アルコールの力を借りないと人に会う事も出来ない主人公。
”聖”は、はっきりと自分の意見を言い、ファッションやスタイルにも気を配っていて、かっこよく映ります。
対照的な2人が、本音を言い合うことで、それぞれの悩みや孤独に気付き、分かり合うところがよかったです。
決断に必要な覚悟や責任が、主人公からは感じられず苛々したけれど、自分の事を情け無く思ったり、寂しさを抱えていて、、
「みんながあなたの常識で動いてるって思わないでほしい」というフレーズが刺さりました。
”三束さん”は自分の深いところを見せずに、少しの時間を共有したかっただけなのか。一歩踏み出した、主人公からは離れてしまった。切ない。
物語の内容よりも、文章の美しさや、登場人物達の言葉が心に刺さった一冊です。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年1月31日
- 読了日 : 2022年1月30日
- 本棚登録日 : 2022年1月30日
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