スティーブ・ジョブズ正史とも呼べる伝記。生い立ちから死に至るまで、余すところなくその人生が活写されている。よいところだけでなくわるいところもふんだんに描写することでジョブズの真に迫っていると言えるが、より正確には人間的にはどこまでもくそ野郎なのではないかと思える社会不適合者であった。偏屈で、横暴で、理不尽で……救いようがないが、しかしそこには一貫した美学がある。そして、美学を支えるセンスがある。その根源に、”現実歪曲フィールド(Reality distortion field)”と言われている、己を貫き通すエネルギーがそこにある。「なぜ日本にはジョブズが生まれないのか」とは愚問だとしみじみ思う。異端児というのは、望まれて生まれるような人物ではない、もとい、天才は育てるのではなく天賦の才を持つから天才なのだ。
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- 感想投稿日 : 2016年3月13日
- 読了日 : 2016年2月21日
- 本棚登録日 : 2016年2月21日
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