砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2012年6月25日発売)
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本棚登録 : 829
感想 : 60
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※作品のネタバレを含みます。各自で自衛願います※


まず念頭に置いていただきたいのは、自分は虐待児として育った。それゆえに虐待やいじめに関する本は厳しい評価を下しがちであるとご留意いただきたい。

さて鬱本として名高いこの作品だが、自分の感想は「読んだ後に何も残らない本」。敢えて探せば胸くそ悪さが残るのかもしれないが、実際に虐待受けてきた人間からすると「ふーん」で終わる。作中に登場する虐待児に共感する点がないからだ。

一般家庭で育った人物が「虐待ってこんな感じだろう」と想像して書いた本にしかみえない。虐待部分に関する記述はふわふわ。虐待児の思考や行動も、そうかぁ?と首を捻ること多数。もちろん自分の経験が全ての虐待児に当てはまるとは考えていないが、命の危険を感じるほどの折檻を受けている子どもが友人になりたい子に対して攻撃的になるか?自分がやられて嫌なことを好意を抱く相手にやるか?と考えると、甚だ疑問。しかも園児や小学生ではない。中学生なのだ。


戦争を経験していない人間が、想像で戦争物の小説を書いたとしよう。実際に戦争を経験した者がその小説を読んでどう感じるか。しらける、むなしい、やってられない。そんな感想を抱くのではないだろうか。
私もまさに同じ気持ちだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 青春
感想投稿日 : 2023年9月6日
読了日 : -
本棚登録日 : 2023年9月6日

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