小説自体は25年くらい前のもので、舞台は1960年代後半の仙台。学園紛争やデモなどが激しかった時代の、ひとつの恋とミステリー。
高校生の響子と大学生の渉。そして渉の親友の祐之介と恋人のエマ。四人の想いが交錯して、ある事件が起きる。
小池真理子さんの小説を読むのは思えば初めてで、どうして今まで手に取らなかったのか自分でも不思議。
全編通して美しい。人間の醜さが表れる場面もあるのに、なぜか穢れを感じない。始めに事件を予感させる描写があり進んでいくせいもあるのか、常に死の匂いが漂っていて、どこか物悲しい。
勝ち気な高校生・響子と暗い過去を背負った大学生・渉の恋と一時の出来事を、二十数年後の響子が振り返る形で描かれていて、結果を知ったあとに過去について語る形式だから悲運を予感させる言葉がそこかしこに散りばめられてあるのに、それが何であるのか全く予想がつかなかった。そしてその事件は、個人的には想像もしなかったものだった。
背徳的、というのか。
最後の三分の一はとくに、先が気になって一気に読んだ。
映像化、向いてるかもしれない。
映画を観るつもりはあまりなかったけど、ちょっと気になり始めている。
ミステリの感想は難しいからそこそこに。笑
また読みたい作家さんが増えちゃったなぁ…と、嬉しい悲鳴。
無伴奏というタイトルなのに、しっとりしてて哀しい曲がバックでずっと流れているような物語。「悲愴」を流しながら読みたい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年4月6日
- 読了日 : 2016年4月6日
- 本棚登録日 : 2016年4月6日
みんなの感想をみる