初の笹本作品を読了しました。今年になって注目してた作家さんですが、最初に何を読むべきか?迷っていて3冊ほど購入してやっとページを開いたのが本書です。
ストーリーは…文庫裏表紙より~
元刑事で、今はしがない私立探偵である茜沢圭は、末期癌に冒された老人から、35年前に生き別れになった息子を探し出すよう依頼される。茜沢は息子の消息を辿る中で、自分の家族を奪った轢き逃げ事件との関連を見出す…
というカンジ。
私立探偵が主人公の人探し、しかも35年の歳月は、無情にも手掛かりの欠片すら主人公に与えようとはしない…そんな流れは個人的ツボにはまります。主人公の一人称文体ではないけど、ハードボイルドタッチで、さらに主人公の幸福を奪った轢き逃げ事件も関わってきて、と主人公の動きとともに小さなヒントが積み重なっていって目指す人物像の輪郭が徐々に読者に提示されていく様は、宮部みゆきの傑作「火車」を彷彿させます。ラスト前におけるアクションから結末の悲哀まで一気に読める熱を持っている秀作だと思います。
ただ期待が大きかったせいかもしれませんが、最後の最後、あそこまでやる必要があったのかな?アレがなくても充分読み通せたし、かえって作り事っぽさが助長されちゃったような気がします。
笹本氏のプロフィールを改めて見て納得したことがありました、後半のアクションシーン、自分は他の読者よりもより詳しく状況を想像できる読者でありました。その分緊張感も増したと思うし得した気分です。そしてなるほど笹本氏も…ちょっと嬉しくて、次に読むものの期待も大きくなりました。
- 感想投稿日 : 2011年10月6日
- 本棚登録日 : 2011年10月1日
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