政治とは何か: 竹下登回顧録

著者 :
  • 講談社 (2001年1月1日発売)
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感想 : 7
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オーラルヒストリー・シリーズ(2001年刊)
・第一章 政治の本質 
・第二章 政治家の仕事
・第三章 派閥の効用
・第四章 政治の動かし方
・第五章 国会というところ
・第六章 民主主義とは参加すること
・第七章 官房長官とは何か
・第八章 政治家の鍛え方
・第九章 絶大な幹事長の権力
・第十章 日本と中国との関係
・第十一章 選挙学
・終 章  落とし所
・インタビューを終えて
・竹下登の経歴と略年表

竹下派の領袖にして、元総理大臣。戦後政治の重要人物として毀誉褒貶あるが、その回顧録が面白くない訳がない。しかしながら、惜しい点がいくつかある。あとがきに「竹下氏のインタビューはまだまだ続けられる予定だった」とあるとおり、竹下氏が病魔に倒れたため、中途半端な部分で終わってしまっている点である。肝心な中曽根内閣時代、後継者指名、総理就任以降の部分についてさほど触れられていないのは残念である。また、登場人物が多く、編集部の脚注があるが、索引が無いのが惜しい。
印象的であったのは「人事の損失補填」という言葉である。大臣に就任したものの短命だった場合、時期を見て再登用し、活躍の場を与えるということであるが、短命に終わった宇野内閣の閣僚を第二次橋本内閣で閣僚に登用し損失補填した話が出てくる。気配りの人らしい、美談といえば美談であるが、誰が真の権力者であったのかを垣間見た気がした。
また、55年体制の功の部分(自民党と社会党がそれぞれの主張を行い政策に反映させた)と罪の部分(与野党の争いが八百長プロレスだった)も興味深い証言であった。
「選挙の神様」が言う「民主主義とは参加すること」(まず投票すること)という言葉に重みを感じる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治
感想投稿日 : 2014年12月13日
読了日 : 2014年12月12日
本棚登録日 : 2014年12月9日

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