人間昆虫記 (秋田文庫 1-31)

著者 :
  • 秋田書店 (1995年4月10日発売)
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本棚登録 : 384
感想 : 45
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十村十枝子一代記。成り上がりの物語でもあるが、主人公が抱える心の空洞を埋めるための物語だったような気がする。
関わった人間から、才能を吸い取り自分のものにして、名誉栄光をほしいままにする十枝子。才能を吸い取られ落ちぶれていった人間は見捨て、新たな人間へと拠り所を移してゆく十枝子。
心の空洞を埋める唯一の存在だった水野とは、絆を深めることができず。おそらく、空っぽのまま人生を送ってゆくのだろう。

多くの登場人物が、空洞を埋めることができずにいる物語であったなぁ。救いのない物語だったと思う。しじみぐらいではないだろうか。空洞を埋めることができたのは。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年4月27日
読了日 : 2021年4月24日
本棚登録日 : 2021年4月24日

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