まずは本文より、印象に残った一文です。
〈美術といいながら、必ずしも「美」を表現するものではなくなった〉
展覧会や美術館巡りを趣味にしている人には、好きな分野やジャンルがあると思います。
いわゆる現代アートと括られる作品やアーティストが好きな方もいるでしょう。
逆に、現代アートだけはよく分からない、という人もいるでしょう。
本書は何らかの理由で現代アートを避けている人の入門書として書かれています。
せっかくの休日に、時間とお金をかけて現代アート展に行ったにもかかわらず、頭をフル回転しすぎてぐったり疲れてしまったでは悲しいです。
落ち着いて、余裕のある気持ちで作品を見続けるためにはどういう準備が必要なのでしょう?
著者は自身を美術の専門家ではなく、フツーの感覚をもってアートを見ている人と言っています。
フツーの感覚で現代アートを理解するために、著者は12人のアーティストの作品を例にして説明します。
それは12通りの現代アートの見方を紹介する入口であり、現代アート作品に対峙するときの12通りの心構えでもあります。
美術についての専門用語も少なく、スラスラと読み進めることができました。
アートの見方は人それぞれとは言いますが、そこに美しさを求めるのは万人に共通の思いではないでしょうか。
しかし、最初の一文。
私はこれを読んで少しホッとしました。
作者が「美」を表現していないかもしれないなら、眉間にしわを寄せて細目になって美しさを追求する必要なんてないんだと気付かされました。
次からは身軽な頭と心で現代アートを鑑賞できそうです。
- 感想投稿日 : 2020年1月28日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2020年1月28日
みんなの感想をみる