アフターダーク (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2006年9月16日発売)
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本棚登録 : 16199
感想 : 1285
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文体、構成について相談した時に、参考として読むといいと貸してもらったこちらの本。
村上春樹のニヒリズム漂う文体だからこそ、ある意味でとっかかりがなく、躓かずにスルスルと読んでいけます。
こういったライトな読み方もできますし、ところどころのナンセンス(に一見みえる)な部分に意味や意図を見出す解釈的な読み方もできて、なるほど万人に愛される作家です。

内容についてですが、僕は読んでいるうちに、またイェイツの詩を想起してしまいました…。

A brand, or flaming breath.
Comes to destroy
All those antinomies
Of day and night;

「炬火(たいまつ)が、火を吐く息が
現れて、昼と夜の
あの背反を
ことごとく抹殺する。」

登場人物たちはみな、夜から抜け出せないでいる、あるいは自ら望んで夜に引きこもっているように感じました。
何か超越的な存在が、昼と夜という二義性を破壊し、昼を遥か遠い存在にしてしまったかのように。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月25日
読了日 : 2023年8月24日
本棚登録日 : 2023年8月22日

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