1978年群像新人賞受賞作。なんていうか、中沢けいがここで書いている問題に対して一定の時代の、一定の人間がすごく共感したんだろうなあと思った。お母さんとの関係が異性との関係を決定していく感じとか、自分の身体に対する感覚とか、そのオブセッションのあり方には部分的に共感できるところがある。ただ違和感を覚えるものもあって、思考回路のプロセスは理解できるしある程度重なるものもあるからこそ逆に気持ち悪くなってしまった。わたしの問題と似たものがあるから余計に、なんでもっとわたしの感覚と重なり合ってくれないんだろう、もっとわたしを助けてくれないんだろう、みたいな理不尽なことを考えてしまって、くるしくなった。川村さんの解説を読んで、男の人はこういう風に理解しようとするだろうな、そうだよな、って思った。文芸評論は男の人のものなんだなあとも。小説に対して感じた気持ち悪さ、解説で締め出されたことによってちょっと回復したこと、そういうのをふまえると、わたしが救われるためにはやっぱり完璧に重なるか締め出されるかしかないのかなあとおもって、なんかもう吐きそう。
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- 感想投稿日 : 2013年8月27日
- 読了日 : 2013年8月27日
- 本棚登録日 : 2013年8月24日
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