【書誌情報】
『死刑制度と刑罰理論――死刑はなぜ問題なのか』
著者:井田 良
定価:2,420円
刊行日:2022/01/27
ISBN:9784000615136
版型:四六 上製 カバー
頁数:240
死刑制度の存廃をめぐっては激しい意見対立が続いている。理論刑法学の卓越した研究者である著者が、刑罰論の観点から死刑制度を考える。死刑存置派、廃止派、あるいは日本の刑法学の通説がともに議論の前提に置く刑罰論=応報刑論の意義を問い直し、その問題点を深く洞察することで、膠着した死刑論議に一石を投じる意欲的な書。
〈https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b597629.html〉
【目次】
目次
はじめに
第一章 日本の死刑制度とその運用
一 現行法における死刑
二 刑事裁判と死刑
三 死刑と量刑
四 死刑とその執行
第二章 死刑制度の刑罰理論的基礎
一 死刑制度を正当化する論理
二 刑罰の本質としての責任非難
三 刑罰制度のあり方を規定する二つのベクトル
四 本書が目ざそうとするもの
第三章 重罰化傾向はなぜ生じたか
一 平成時代における刑法思想の変化
二 立法裁判実務行刑実務に見る重罰化
三 永山事件と光市母子殺害事件
四 重罰化の要因と背景
第四章 被害感情と現行の刑罰制度
一 被害感情とその量刑における考慮
二 被害感情の充足を阻むものとしての責任非難
三 被害感情と責任非難の対立関係
四 再考――刑法は何のためにあるのか
第五章 同害報復から規範の保護へ
一 刑法による法益保護のメカニズム
二 刑法は何を保護するのか
三 実害対応型の応報刑論から規範保護型の応報刑論へ
四 ヘーゲルの刑罰理論
第六章 死刑存廃論議に与える示唆
一 実害対応型の応報刑論が導く隘路
二 規範保護型の応報刑論が描く犯罪者処罰の全体像
三 公益実現のための刑法
四 放置してはならない被害感情
補 論 死刑制度をめぐる重要論点
一 死刑のもつ一般予防効果をめぐる議論
二 処罰感情と死刑制度
三 日本人の死生観刑罰観との関係
四 誤判の可能性と死刑制度
五 死刑制度の運用のあり方
おわりに
索引
- 感想投稿日 : 2022年5月11日
- 本棚登録日 : 2022年5月11日
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